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2017.04.06

組織の枠をこえて1人10役の顔を持つ石川貴志さん

【インタビュー「越境人」 】
居住地、年齢、経験、性別、キセイガイネン……会社という枠・ボーダーをこえて、自分の可能性を最大限に活かそう。ボーダーをこえている人達を「越境人」と私たちは呼んでいる。ここでは、彼らの「越境人」となるための秘訣を聞く。

 

越境人

 

今回の越境人は、大手出版流通企業で働きながら、一般社団法人「Work Design Lab」の立ち上げなど、組織の枠をこえて1人10役をこなす石川貴志さん。所属している会社では、もともと複業はNGだったとのこと。会社とは切り離し、例外として活動をするというカタチで、組織のボーダーをこえたキャリアや石川さんの考える越境人に必要なチカラを伺いました。

 

会社はとてもありがたい存在! 会社と良好な関係を保ちながら、内外でやりたいことをやる

 

Q. 石川さんがはじめて組織の枠をこえたエピソードについてお聞かせください。

 

2011年に、手掛けていた新規事業開発プロジェクトが凍結することになり、時間に少し余裕ができたことがありました。そこで次に向けての準備として、以前から関心があった社会課題の解決をテーマにしたビジネスに関わりたいと思い始めました。ちょうどそのときに妻がSVPTokyoの方と会う機会があり、紹介してもらって話を聞きに行ったのが社外活動を始めるきっかけです。
 

SVPTokyo「ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京」は、社会的な課題の解決に取り組む革新的な事業に対して、資金の提供と、パートナーによる経営支援を行っています。(SVPTokyoのHPより)

 

Q. 次に向けて準備というのは転職ではなくて、会社内の次の事業に向けてということですか?

 

そうですね。このときは、転職は考えていませんでした。基本的に会社はとてもありがたい存在だと思っていて、当然新しいことを始めるときには説明が必要ですが、逆をいうと説明ができれば会社のリソースを使うことができます。よく、「今の会社ではやりたいことがやれいない」と言って転職の相談を受けることがありますが、もしかしてそれは視野が狭くなっているのではないかと思うこともあります。会社という組織を使って、いまこのタイミングでやれないだけなのではないか?と。もちろん組織としての優先順位もあるため、実施可能性が不透明な場合もあるかもしれませんが、そのときは会社に迷惑をかけないかたちで、社外で始めておけばいいと思います。だれも「やるな」とは言ってないと思いますし。そうしながら、会社を通じて実施するための文脈を準備しておけば、実施可能性は高まると思います。

 

Q. SVPTokyoからその次の活動へはどう広がっていったんですか?

 

まず、SVPTokyoで出会った人たちがとても素晴らしい人たちでした。SVPTokyoは、パートナーと呼ばれる、弁護士や会計士、企業の第一線で働く20代から60代のビジネスパーソン約120人で構成されていて、本業で培った専門知識を、社会起業家支援など本業以外にも提供している団体です。お金でないことに動機づけられて活動し、個人もやりがいを感じている。そんな社会に対して当事者識が強い仲間と一緒に活動していくことに、私自身のめりこんでいきました。
 

ただ、2012年に私がパートナーとしてSVPTokyoに参画した当時、社会起業家や企業の共創(CSV)、ソーシャルイノベーションに向けた動きは少しずつ増え始めているとはいえ、「社会の当事者は圧倒的に不足している」と感じていました。パートナーの人たちも所属組織においては、とてもマイノリティな存在なんだろうなと‥‥‥。そういった社会に対して想いを持って活動している個人を応援したい、またそういった個人が活きる組織をもっと社会に発信していきたいという想いから、「Work Design Lab」の活動を2013年に開始しました。
 

対話を通して個人と組織の関係性はどうつくられていく?

 

Q. Work Design Labではどのような活動をされているのですか?

 

もともとは、「会社からは、ルール違反者として煙たがられているが、社会的には良い活動をしている人」を応援したいという想いから、そういった「想いのあるルール違反者」をゲストとしてお呼びし、「働き方と組織の未来を考える」ことをテーマにした対話イベントを開催することから活動が始まりました。イベントの切り口や規模は様々ですが、2~3ヶ月に1度30名~150名規模で開催しています。現在は、「サラリーマン・イノベーター・ネットワーク」という名称で、企業横断の新規事業担当者コミュニティの運営や、「複業ワーカーの集い」という複業実践者向けの勉強会なども開催しています。

 

Work Design Labでは「イキイキ働く大人で溢れる社会、そんな大人をみて子どもが未来に夢を描ける社会をつくりたい」というビジョンを掲げていますが、個人の想いを起点に仕事や活動している人は、周りから色々と言われても、基本的にイキイキと働いていると思うんですね。今後は、政府も推進する「副業・兼業」の流れで、「会社員 兼CEO」というスタイルも増えていく気がしています。そんなイキイキと働く人を増やすために、昨年「複業総研」というものも立ち上げました。個人として、複業NGの会社に所属している場合に「どのように会社と対話しながら社外活動を開始し、継続していのくのか?」ということに加え、組織としても、複業ワーカーが多くなった場合に「どのような個人と組織の関係性をつくっていく必要があるのか?」ということなどをテーマに活動しています。

 

Q. 石川さん自身はこういった活動は会社からは怒られなかったのですか?

 

会社から怒られてはいませんが、色々と活動内容についてはヒアリングされました‥‥‥。就業規則上、複業は認められていないため、現在も、会社とは切り離す形にすることで活動を継続しています。

 

越境活動のコツは、時間管理と期待値整理

 

Q. 石川さんが考える、今の働き方のメリットとデメリットを教えてください。

 

まずメリットは、社外活動を通じて社外の多くの方とつながりがうまれること。またそのつながりを通じて、新しいアイデアや情報が得られることです。相手のことを知っているだけでなく、相手が望んでいることや、所属する組織から期待されいてるミッションなどを理解しておくことにより、アイデアや情報を組み合わせて、カタチにしやすくなると思っています。自分自身が組織内外の情報を「新結合」させるためのハブになるというイメージでしょうか。また実際に社外で知り合った人と、仕事でご一緒する機会もありますが、互いのパーソナリティを理解しているため、スムーズに進むなどのメリットもあります。

 

デメリットというか、注意していることは、時間の使い方です。何か新しい企画を進めるときは、最初にどこまでコミットできるかというのを早めに見極めて、相手と合意するようにしています。相手もどこまで望んでいるか、はじめの時点では見えていないこともありますが、期待値を整理することは常に意識しています。以前、半年後に立ち上がるプロジェクトを手伝ってほしいと言われ了解していたが直前になって状況が変わり手伝うことができなかったという経験もあるので、リスクも含め最初の見極めはとても大切だと思います。

 

越境人は優しい人? 巻き込まれるチカラを持っている?

 

Q. 石川さんが考える、組織の枠をこえて活躍できる人に必要なチカラはなんだと思いますか? 

 

周りの人を見ていると、まずは優しい人であるということ。優しいというのは、何か変化が必要なときにそれを外に求めるのではなく、相手にあわせて、自分が変化しようとする。変化のベクトルが自分に向いている人のことです。そして相手の望んでいることをしっかりと理解した上で、自分の望むことと異なる箇所については、組織の目的より上位の、社会的目的を共有することで、互いの望むことを統合していけるチカラが必要なのではないでしょうか。

 

また、「よく人を巻き込むチカラ」の大切さは語られますが、意思をもって「人に巻き込まれるチカラ」も必要なのではないかと思います。先ほど話した「時間の管理」の大切さと矛盾するように聞こえるかもしれませんが、新しい企画の相談をうけたら、先のことはあまり考えずまず乗ってみる。もちろん、活動の目的やコンセプトに共感しないものには時間を使う必要はないと思いますが、共感するものであれば関わる、応援するというカタチでまず乗っかってみることが、次の予想もしなかった展開につながることも多いかと。起きてない問題を心配するのではなく、共感する活動については、少しでも前に進めておくことが、大切だと感じます。

 

・・・
 

石川さんは第1子の誕生をきっかけにボランティアや地域動を開始され、現在は3人のお子さんのパパです。石川さんが主催するイベントの際には、6歳の娘さんに受付を手伝ってもらったり、また奥様が平日夜や休日に仕事の時は子育てを担当するなど、うまく家族とともにキャリアをつくられているというお話もお聞きしました。

 

石川さんが立ち上げた「Work Design Lab」の活動は、東京だけでなく、横浜や名古屋、広島でも展開され、今後新潟や福岡にも広がるそうです。会社に属しながらも、その枠をこえて活躍する石川さんから目が離せません。

この記事の筆者

yoko koga

こが ようこ

IT企業にてSE、営業として働き妊娠を機に退社。地域でママ向けのイベント・講座を行う団体の代表をしている。 住んでる地域を楽しいところにしたい!という活動を展開中。好きな言葉は「なんとかなる」、子育てモットーは「死ぬこと以外はかすり傷」。