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2017.12.29

フリーランスがゴールじゃない! 広告代理店勤務で17時半退社を実現する倉増京平さんの複業ライフのコツ

【インタビュー「越境人」 】
居住地、年齢、経験、性別、キセイガイネン……会社という枠・ボーダーをこえて、自分の可能性を最大限に活かそう。ボーダーをこえている人達を「越境人」と私たちは呼んでいる。ここでは、彼らの「越境人」となるための秘訣を聞く。

 

 
今回の越境人は、大手広告代理店で働きながら複数のNPOで活動している倉増京平さん。広告代理店というと本業が忙しくて社外活動に時間を使えないイメージですが、17時半以降は社外活動をされているという、その時間・タスク管理術や、またいつかは本業を辞めて副業の方で独立‥‥‥などという訳ではなく、社外活動で得た経験、知見、スキルを使って、本業で新しいことをしていくという、2つの輪で相乗効果を狙う方法などをうかがいました。
 

人の目を気にするより、自分の大切な時間を何に使うか?

 
Q.広告代理店と言うと、遅くまで働いているイメージがありますが、社外活動の時間はどうやってつくられているのでしょうか?
 
基本的に、毎日17時半頃には仕事を切り上げ、それ以降は社会課題に向き合っている人、社会にチャレンジしている人を応援する社外活動、あるいは家族との時間など、自分の大切な時間として使っています。20代の頃は、ワーカホリックで終電まで仕事をしていたのですが、意識が変わりました。
 
Q.意識が変わられたきっかけはなにかあるのですか?
 
じつは29歳の時に心臓の病気になり、手術をしています。それまで健康診断でひっかかってもまさか自分に何かあるとは思っていなかったのですが、30歳を前に再検査を受けたときに発覚しました。今は人生100年時代と言いますが、30代でだって死ぬかもしれないという想いをしたことで、自分はひとよりもちょっと早く死ぬかもしれないという「有限感」を持つようになりました。
 
「有限感」というとなんとなくマイナスな感じがするかもしれませんが、この感覚を持ったことで、これまでよりも幸せを感じるようになりました。たとえば今日も1日過ごせて幸せだと思うし、美味しいご飯が食べられて幸せだとも思うし、こういう取材の機会をいただいて嬉しいなとか。そして些細なことにも感謝ができるようになって、いろんなことがうまくいくようになりました。
 
また、この経験から時間に対する概念が大きく変わりました。今の社会もそうですし、会社組織も人の時間を奪うことが多い。つまらない会議も、他人のゴシップ情報ばかり流すテレビ番組を見ることも、そして便利なスマホも使い方次第では多くの時間を奪います。そういう時間を奪うものは悪だなと。残りそんなに多くないかもしれない大事な時間を奪うなよ!という想いが強くなりました。
 
人の目を気にして、上司が帰らないと自分も帰れないという声を聞きますが、私の場合はそういうことはどうでもいいやという感覚になりました。人の目を気にするよりも、自分の大事な時間を何に使おう?という風に徐々に意識が変わりました。
 
意識が変わると行動も変わって、今のように17時半には退社する生活になりました。
 

時間を奪われるのを待つのではなく、自分から取りに行く

 
Q.17時半には帰ろうと思っても、なかなか切り上げるのは難しそうですが‥‥‥。
 
ポイントは2つあって、1つは先手で自分から時間を取りにいくことです。
例えば、こんどの○○プロジェクトのキックオフミーティングをしようとなったときに、夕方より前の時間帯をいくつか提示して「この時間帯でミーティングできたら嬉しいのですが、ご都合いかがですか?」とプロジェクトリーダーに先に伝えます。また、スケジュール管理ソフトを社内で使っているのであれば、夕方以降は先に予定を入れてブロックしています。ちょっとしたTIPSみたいなものですが、人から時間を奪われるのではなく、先に自分から取りに行き、この時間だったら貢献できるということを先手で伝えるというのが大事だと思います。
 

それとなく「社内で夕方以降はいない人」というブランディングを

 
もう1つは、周囲に自分は夕方以降いない人だということを、それとなく言い続けてブランディングしていく。小さなお子さんがいる人で残業できないというのと同じで、ライフワークがあるから夕方以降仕事しませんというのも十分な理由だと思います。あとは、Facebookで社外活動の肩書を複数入れるなど、こういうことをやっているのだな、とさりげなく知ってもらう工夫も大事です。
 
Q.会社では社外活動について何か言われたりしますか?
 
私自身、会社の名前で活動したいとは思っていないので、会社名も出していません。講演や取材記事が公開されて、会社から「何をしているの?」と聞かれたことがあり、内容を説明したところ、「どんどんやっていいけど、一応先に言って欲しい」と言われたことがあります。そこからは可能な範囲で共有しています。
 

朝の2時間で集中して、80点を取りにいく

 

 
Q.とはいえ、17時半で切り上げられる仕事量じゃないイメージがあります。
 
もちろん、どうしても17時半までに切り上げるとこぼれる仕事もあるので、それは早朝(だいたい朝の5時~7時がコアタイム)にやっています。みんなの出社時間を絶対期限として、そこまでに終わらせる。そうすると限られた時間内で合格点を取る必要があり、集中力が上がります。
 
今までの経験から、より多くの時間をかけてもパフォーマンスはそんなに変わらないと思っていますし、短時間でも同じパフォーマンスを出すための訓練を積んできました。また、100点は取れなかったとしても、80点は取れるので、それによってパフォーマンスが落ちた感覚はないです。
 
そしてなにより、社外活動が本業にすごくいい影響を与えています。私にとっては、会社で担当している仕事はどちらかというと既存事業だと考えています。ここでいう既存事業とは、これまで長年の経験を積んでやってきたプロフェッショナル領域であり、収益性をいかに高めるかが重要。収益性を高めるための方法論の1つが効率化(同じ結果を、いかにして短い時間で生み出すか)であり、空いた時間を使って、新規事業の開発=社外活動で経験を積んでいく、未経験領域への投資というサイクルを回しているようなイメージです。このサイクルを回していくことで、既存事業にもいい影響が出るし、自分のキャリアとしての能力開発にもつながっています
 

社会課題とビジネスが融合していく方法論を確立するために、社外活動で学ぶ!

社外活動中の1コマ


 
Q.今、社会活動でどのような経験を積まれているのですか?
 
今お手伝いをしている活動の1つに「一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク」があり、こちらは社会起業家の輩出と応援を目的とした団体で、徳島の葉っぱビジネスの仕掛け人である株式会社いろどりの代表取締役社長 横石さんや、スワンベーカリ―が有名な株式会社スワンの元代表取締役社長 海津さんなど、ソーシャルビジネスの第一世代と言われる方々が理事で名を連ねています。この先人たちがいるノウハウが結集されたチームにいることで、社会課題をビジネスで解決するやり方を学びながら、貢献しています。
 
Q.「社会課題をビジネスで」というのが、倉増さんが今後やりたいことなのですか?
 
はい、社会の課題をどうやってビジネスのチカラで解決していくのか?ということに強い想いがあります。普段会社での仕事は大手のナショナルブランドのマーケティングコミュニケーションの支援で、これらの仕事も大きな意味では社会課題の解決につながっていなくはないのでしょうけれど、今の時代、本当に多くの社会課題が顕在化されつつある状況の中で、よりダイレクトに向き合っていく方法はないだろうか?と思うようになりました。企業のマーケティング活動と社会課題をつなげていく方法を知りたいと
 
元々、NPOで活動を始めたのも、社会課題に向き合っている人がどういう想いで何をしているのか?何に困っているのか?自分の経験してきたノウハウは役に立つのか?どうしたら支援できるのか?とういのを経験するためにです。
 
Q.ゆくゆく本業で活かすために、今社外活動で学んでいるのですね。ほかにそのような活動はありますか?
 
こども国連環境会議推進協会ですね。この団体は学生や社会人に対して「持続可能性」をテーマにリーダーシップ教育をしており、SDGsについてレゴやカードゲームを使用したワークショップなどを行っています。団体の活動内容やSDGsにも魅力を感じましたが、何より事務局長の井澤さんのファシリテーション力が、今後、企業とNPOをつなぐことや、子どもと大人をつなぐという場面で必要なスキルになると思いました。こども国連は、井澤さんの強い想いで精力的に活動されていて、ただどうしてもヒューマンリソースが不足しているため、マーケティングやPRで困っているとのことだったので、私のもっている強みとコラボレーションすることで、お互いの相互補完になると思い、活動しています。
 
Q.自分の得意なスキルを差し出し、欲しいスキルを得ているのですね!
 
社外活動を通して、キャリア開発も可能だと考えて実践し始めています。たとえば、株式会社ドットライフと一緒に最近始めた新サービス「another life.bootcamp」は、ドットライフ社の理念である、自分のチカラで自分らしく生きていくことを応援したいという想い、彼らのビジネス上のニーズ、そして私自身の「これまでやってきたこととは違う分野での新規事業をつくりたい」というキャリア上のテーマがすべてはまりました。
 
Q.倉増さんは、ゆくゆくは独立というよりも、本業の方でクライアントと社会課題をつなぐというテーマもあり、社外活動で得たスキルを本業に活かしていくということを考えられているのですね。
 
今、越境人は増えているけど、外で活動したほうが楽しいと、チカラをつけた人がどんどん出て行ってしまう現象が起きています。でも自分は決してフリーランスになることがゴールだとは思っていなくて、外で得た経験をできれば持ち帰りたい、1人だと出来ることに限界があるので、組織のチカラを使って、経験を活かしたいと思っています。ただそこにはまだ課題もあって‥‥‥。企業はそういう越境人材を制度的にもマインド的に受け入れ態勢が整っていない。越境人材と組織が再結合できるのか?という方法論を確立しようと、もう1つ関わっている「一般社団法人Work Design Lab」のなかで模索しています。
 

おわりに

 
倉増さんは、このほかにも学生と社会人をつなぐ「JSBN未来塾」の運営メンバーもしていて、団体のPR支援を行い、学生たちをサポートしながらPR動画をつくりあげたりしています。
 
自分の大切な時間を何に使うか?を真剣に考え、ただ社外活動を楽しむだけでなく、そこで学んだことを本業に持ち帰る。これこそが、収入を増やす副業というカタチではなく、新しい複業というカタチなのかなと思いました。ご本人いわく、カラダをはって学んでいるフェーズという今、社会課題を本業のビジネスとリンクさせながら、解決していくのは遠くない未来だと思います。その動きを見られるのことが楽しみです!

この記事の筆者

yoko koga

こが ようこ

IT企業でのSE、営業ののち、4年のブランクを経てアイクリエイトで修行中。地域でママ×○○として「やりたい」が育つ『ツナグバ』という場づくりに奮闘中。