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2017.09.21

ニーズはあえて聞かない! サービスはぶつけながら企画する。タスカジ和田幸子さん

【インタビュー「企画人」 】
「企画人」は自由だ。働き方も自由だ。理想と現実のギャップを埋めるチカラ、「企画力」があれば、仕事も、はたらきカタも、プライベートも、人生はもっと自由にデザインできる。多様な企画力を駆使してその人らしい生き方を実現している先人たちを訪ね、「A面:生き方・働き方」「B面:企画のポイント」をテーマに話を聞く。

 

 

今回の企画人は、株式会社タスカジの代表取締役社長 和田幸子さん。自身がネットでハウスキーパーを探した苦労などから、日本では当たり前ではなかった、「家事代行マッチングプラットフォーム」を立ち上げた和田さん。今や作り置きおかずなど料理が上手なタスカジさんがTVでも話題になっているタスカジですが、それを実現できたのは思い込みをなくして、目の前の課題を着実に解決していたからこそ。そんな和田さん流企画力について紐解きます。

 

※記事は【A面―生き方・働き方】と【B面―企画のポイント】の2回に分けてお届けします。本記事は【B面】です。

 

お金で獲得できる競争優位はすぐマネされる

多くの雑誌に取り上げられるほど人気のタスカジさん

 
Q.起業されてからの課題解決事例などありましたら教えてください
 
私自身は課題と思っていなかったのですが、サービス立ち上げ当初はハウスキーパーを募集のための資金がほとんどなくて。メンバーからは「広告に使う資金がなくて、どうやって人を募集する気なんだ!」とびっくりされたことがあります。

 
私自身は、お金がなく、広告を出せないからハウスキーパーは集められないとう発想はなくて。お金がかけられないから、チラシを自前でつくって、印刷会社に頼めないなら、白黒で自分で印刷して、駅前で配ったり……。また、他社がターゲットとしていなかった外国の方に応募してもらおうと、自分が元々ハウスキーパーを探す際に利用していたサイトに募集を出したり、外国の方がよく来るスーパーにチラシを貼らせてもらったりしました。
 
また、利用者を増やすという点でもワーキングマザーの会に積極的に参加して、宣伝するなどやれることはたくさんありました。
 
すごいアイデアである必要はなくて、1歩でも進めることが大事だと思っています。そういう試行錯誤の中で出てきたアイデアややり方は持続的な競争優位になる。逆にお金を使ってできるやり方は、お金さえ調達できればすぐにマネできてしまいますからね。
 

マーケットプレイスだからこそ、タスカジさん、依頼者、両方のWINの合致を目指す

 
Q.タスカジは、3時間以上で、1日3回の固定枠から選ぶ(タスカジさんと個別調整すれば、前後2時間の調整は可能)というスタイルですが、どうして敢えての固定、さらに3時間以上にしたのですか?
 
事業開始前のテストマーケティングをした際に、働き手からは「3時間以上がいい」という声が上がりました。依頼者のターゲットは共働き家庭を想定していたので、大体家の広さは60~80㎡くらいだろうとすると、掃除をするのは3時間以内で終わる。ということで、両方のニーズを叶えると、3時間ということで決まりました
 
また時間枠を固定したのは、やはり働き手が効率的に1日の予定を組めるようにということで決めました。その後、依頼者から開始時間を調整したい場合もあるという声が出て、個別調整すれば、前後2時間以内なら調整可能としました。
 

価格を抑える課題解決は、品質ではなくビジネスモデルで

 
Q.やはりタスカジはこの1時間あたりの値段が他社にはない魅力でもありますね。
 
タスカジは、1時間1,500円と価格が安いですが、それは依頼者とタスカジさんが直接契約をしているからで品質を落として安いわけではなく、ビジネスモデルで安くしています
 
依頼者レビューで依頼者からのフィードバックをもらえるようになっており、レビューで言われた指摘事項を改善して、次にはいいレビューをいただけるように努めるという、自発的に向上するいいサイクルが出来ています。依頼者レビューの評価が高いとモチベーションにもつながりますし、設定できる単価も上がる仕組みにしています。最近は講習会も開催しており、積極的に参加するタスカジさんも増えています。

 

Q.依頼者としては事前の研修や、一定のルール・規約などがないと、って心配になってしまうところもありますが、お話を聞いていると自発的に学ばれている姿もまた依頼者レビューもあって安心ですね。
 
ルールについても、タスカジでは「人によって違う」を前提としており、だからこそパーソナライズされた体験に結びつきます。依頼者も1人1人、ニーズが細かく異なっているなかで、柔軟に細やかな対応が出来ると思います。
 

ニーズは聞くのではなく、サービスをぶつけて探っていく

 

 
Q.TVでは、タスカジさんの志麻さんなど、作り置き、料理のスターが登場されていて、最近ではレシピ本も出版されていますが、元から料理にはチカラを入れていたんですか?
 
活躍中のKotoさんが登録したいと来てくれたのがきっかけです。彼女は、元介護施設の栄養士さんだったので、大量に料理をつくれるのを活かしたいと。ただ当時の家事代行の主なニーズは掃除で、たまに夕飯をつくるくらいでした。だから「お仕事はあまり入らない可能性がある」とお伝えしながら、とりあえずやってみましょうかと始めてみたら、大ヒットにつながりました
 
依頼者からの要望を受けKotoさんがたまたまつくった作り置きおかずがレビューとして写真に投稿されたら、それを見た他の依頼者が「それは私もしてもらいたいかも!?」と潜在化していたニーズが出てきました。
 
そういう意味ではKotoさんの登録時に、依頼者に「料理メインのニーズがあるか」とマーケティング調査をしなかったのが良かったのかもしれません。当時はニーズがまだ顕在化していなかったので、マーケティング調査結果を見ていたらKotoさんの登録にはならなかったかもしれません。
 
まずは自分たちでサービスを提供してみて、その後の反応をしっかり見ることで、ニーズが見極められると思っています。ちゃんとその後の動きを見て察知したら、アイデアの種が落ちていることに気づけるので。Kotoさんのことがあってから、料理についてもタスカジさんの募集を強化して、今回の出版を実現したような形ですね。
 
・・・・
今回のレシピ本、「予約がとれない伝説の家政婦が教える魔法の作りおき (別冊すてきな奥さん) 」(主婦と生活社)の発売には、タスカジさんたちと一緒に出版することで、タスカジさんたちのキャリアアップに繋げられたらという和田さんの想いがありました。マッチングだからこそ、タスカジさん、依頼者、双方の個のニーズを見極めているタスカジらしいと思います。
 
また、和田さんの「○○がないと、出来ない」という思い込みをなくして、「どうしたらできるんだろう?」という発想から入るというのは、じつは幼少期の経験から培われたもの。そんな幼少期については別記事でご紹介するので、お楽しみに。

この記事の筆者

yoko koga

こが ようこ

IT企業にてSE、営業として働き妊娠を機に退社。地域でママ向けのイベント・講座を行う団体の代表をしている。 住んでる地域を楽しいところにしたい!という活動を展開中。好きな言葉は「なんとかなる」、子育てモットーは「死ぬこと以外はかすり傷」。