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2015.11.20

【企画人:B面】細野真悟さん(リクナビNEXT編集長)/「アイデアと企画は違う」

 

【インタビュー「企画人」 】
「企画人」は自由だ。働き方も自由だ。理想と現実のギャップを埋めるチカラ、「企画力」があれば、仕事も、はたらきカタも、プライベートも、人生はもっと自由にデザインできる。多様な企画力を駆使してその人らしい生き方を実現している先人たちを訪ね、「A面:生き方・働き方」「B面:企画のポイント」をテーマに話を聞く。

 

細野さんの画像

 

今回の「企画人」は、株式会社リクルートキャリアリクナビNEXT編集長を担う細野真悟さん。実は細野さん、会社内でも責任のある立場を任されて成果を生み続けながら、プライベートでは音楽コラボアプリ『nana』のサービス開発にも携わるなど、社外でも数々の実績を積み、さらには趣味でも有名人!?という、何足ものわらじを履きこなす。会社にいながら、なぜそれほどまでに自由自在に活躍することが可能なのか――? 細野さんの秘密に迫る。

 

※記事は【A面—生き方・働き方】と【B面—企画のポイント】の2回に分けてお届けします。本記事は【B面】です。

 

「与件の整理」で、企画の良し悪しが決まる

細野さんの画像

 

Q. 【A面】では現在のワークスタイルについて伺いましたが、そもそも細野さんが「企画力」にフォーカスしていった背景は?

 

もともと、世の中の理不尽なものに対してイライラ度が高かったんです。例えば“電車の温度はだれがコントロールしてるんだ、冬は着込んでみんなが乗ってるから暑いだろ!”とか(笑)。それに対して「じゃあどうしたらいいの?」を考えるのが好きだった。でも学生のころはコストや実現可能性も考えず、「こうすりゃいいのに」というただの“文句言い”でした。

 

社会に出たら、それこそ仕事なんて課題だらけで、またイライラ(笑)。でも当時の僕はシステム開発。「その解決方法じゃ解決しないんじゃない?」と思っても、実行するしかなかった。そういう時期が6年くらい続いて、結構パワーを溜め込んでいたんですよね。

 

その後、企画の立場になっていざやってみると、自分が企画してもうまくいかないものはいっぱいあった。当時は「何を解決するのか」も明確にせず、こんなことをやったら面白いんじゃない?と、「思いつきを実現する」ことが企画だと思っていたんですね。

 

でも本当はそんなことより「問題は何で、前提条件は何で、使えるリソースは何で、さらに、できないと思い込んでいるけど本当はできることは何で、ゴールは何なのか」を見抜き、整理することの方が、何倍も大事。ここが整理できるまでは、その先を考えてはいけない。

 

失敗と成功を繰り返す中でそのことに気づき、このステップを全部ふめば成功する企画ができる、という自分なりのプロセスシートができたのが4年前。その後実践を通して何度も更新していきましたが、与件整理をきっちりやることは、今の僕のプロセスシートの中でも大上段にあります。

 

「アイデア」と「企画」は違う

プロセスシートの画像

 

Q.プロセスシートというのは……?

 

知識の中から「これは使うけれどこれは使わない」と取捨選択して、自分が企画を立てるときの思考プロセスを形にしたものです。

 

“企画”って、よくわからないじゃないですか。いい企画を「思いつかない」というけれど、思いつくのは「アイデア」。企画は問題の解決をするものなんです。例えば「集客がかんばしくないのでプロモーションを打ちましょう」は企画じゃない。一歩踏み込むと「お金はあまりない、けれどカスタマーを集めなければいけない」という問題があり、「じゃあ、どうする?」というところから始まると思っていて。

 

その問題を解決しようとするとき、人それぞれの思考プロセスがあると思う。そこでまず、自分のやり方はこうだ、というものをなんとかしてまとめる。次に、それを意識しながら社内の企画をやってみて、再現性があるか、本当このやり方で成果が出るかを検証して、ブラッシュアップする。自信がついてきたら、これを社外で行う。この3ステップが、外に出るための準備期間だったと思います。

 

企画力を高めるには、「実践」の場が不可欠

細野さん直筆の企画ノートの画像

細野さん直筆の企画ノート。日々通勤の電車内で思考を整理するという

 

Q.企画力はどうやって磨いていけばいいのでしょう?

 

企画というと、発想力をつけなきゃとか、SWOT分析など経営のフレームワークを学ばなければと考えている人がいるのですが、これは少し違う。

 

企画をたてるうえで一番大事なのは、求められているものは何なのかという課題設定と、使えるリソースや制約の確認と、その確認の中で「いや、本当はこれできますよね」と、ブレイクポイントを必ず見つける感覚。そのうえで考えて、実現可能なところまでしたてるという総合格闘技なので、発想力だけでも、フレームワークだけでもないんです。

 

もちろん与件を整理したうえで、発想は必要。ただしそのアイデアは実現可能で、かつ課題がきちんと解決され、ねらっていたゴールが達成されなければいけない。その3つ全部パッケージで責任もつことが企画で、これを実現するための「ジロン(持論、自論)」を磨き上げていくことが、企画力を磨くことだと思います。

 

つまり、どこかに正解があるものじゃない。荒削りでもいいから、自分なりのやり方をつくりながら実践して改善していかないと、応用の効く企画力にはならなくて。時間はかかっても、実践の中で「ジロン」を磨き上げるしかないんです。

 

『プランナーズ』を手伝っているのも、実践できる場をもっと広く提供するのが絶対必要だと思っているから。社内では、やり方まで決められた企画の実現を任されることはあっても、それでは一番大事な与件整理力がつかない。だから外の案件をどれだけ手伝いながら自分を磨けるかがすごく大事なんです。

 

実は社内のメンバーにも、外に出て、自分の会社以外の人がどういうことに悩み、それに対して自分はどういう貢献ができそうか考え、実践する機会を増やした方がいいよと言っています。その中で自分の企画力の相対的位置を知ることができるし、場数を踏むことで社内でのパフォーマンスもあがるはずです。

 

企画とは、2つ以上の問題を同時に解決する設計図を描き、実現すること

細野さんの画像

 

Q. 細野さんの考える「企画」とは?

 

任天堂の宮本茂さんの言葉で、「アイデアというのは、複数の問題を一気に解決するものである」という定義がすごく好きで。それってたぶん、「こういう問題がある、でもお金がない」とか、それを2つの問題と捉えて、同時に解決するのがアイデアだ、って言っているんですよね。

 

着想は、2つ以上の問題を同時に解決しうるアイデアを思いつくこと。それを、与えられた予算の中で、必要なゴールまで実現しきる設計図を描くところが、企画立案。さらにそこをディレクションして、発生する壁を乗り越えるのが企画実現だと思っています。

 

おわりに

 

以上、今回の「企画人」は株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT編集長の細野真悟さんにお話を伺いました。

 

お話を伺っているだけでも、その整理された思考回路が伝わってくる細野さん。一方では“ハモハモ大魔神”として趣味の世界でも活躍されているのですから、その幅の広さには脱帽です。

 

社内でも責任のある立場を担い成果を生み出し続けながら、社外でのビジネスサポートも行い、趣味の世界でも活躍。時間の制約がある中で、これほど広範囲を自由に行き来するライフスタイルは、まさに『企画人』でした。

 

 

この記事の筆者

なべこ

なべこ

日本でPR会社勤務を経てフィジー留学、オーストラリアで日本語フリーペーパー編集部でのライター、田舎での農場遊牧生活などを経て帰国。現在はライティングや広報まわりのいろいろをナリワイとさせていただきながら、湘南界隈を拠点にゆるゆると生息中。