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2015.11.26

【企画人:A面】光畑由佳さん(モーハウス 代表)/おっぱい事件でひらいた道

 

【インタビュー「企画人」 】
「企画人」は自由だ。働き方も自由だ。理想と現実のギャップを埋めるチカラ、「企画力」があれば、仕事も、はたらきカタも、プライベートも、人生はもっと自由にデザインできる。多様な企画力を駆使してその人らしい生き方を実現している先人たちを訪ね、「A面:生き方・働き方」「B面:企画のポイント」をテーマに話を聞く。

 

光畑由佳さんの画像

 

今回の「企画人」は、授乳服のパイオニア、モーハウスの代表 光畑由佳さん。

 

当時日本になかった新しいマーケットをつくっただけでなく、自社で取り入れた「子連れワーク」が注目を集め、メディアや講演にひっぱりだこ。活躍のフィールドは、大学から行政、ときには政治の場、そして海を渡ったり……と、ボーダレスな幅広い活躍の光畑さんに、キャリアの背景や現在のライフスタイル、企画のコツまで話を聞いた。

 

※記事は【A面—生き方・働き方】と【B面—企画のポイント】の2回に分けてお届けします。本記事は【A面】です。

 

壁にぶつかったら、まずは自分のできることで。すべてのはじまり、「中央線事件」

中央線の電車画像

 

Q、光畑さんを語る上で欠かせない「電車内授乳」について聞かせてください!

 

今では社会起業家なんて言われてますが、私の起業は、ごくふつうの日常で起きた事件がきっかけです。18年ほど前、当時3歳の長女と、生後1ヵ月の次女を連れて、自宅のあるつくばから立川にある友人の家まで遊びに行ったのですが、その途中、中央線の車内で次女がお腹をすかせて泣き出してしまったんです。

 

あやしても泣き止まず、その泣き声に車内の注目を一身に浴びていた私は、おっぱい丸見えの車内で、授乳を決行しました。まだ授乳服なんて言葉もなかった時代です。後で冷静になれば、電車から降りればよかったとか、いろんな手段がありますが、そのときは目の前の赤ちゃんに、いっぱいいっぱいだったのです。

 

Q、うわぁ、それはご自身もショックが大きいですね!でも、そこからどう起業につながるのですか?

 

「母乳育児は自然でラクなことのはずなのに、お母さんの行動は限定され、楽しくないじゃないか!」という憤りに似た気づきから、少しでもその壁を取り除いていこうと、海外から授乳服を取り寄せたのが第一歩です。

 

授乳服のあまりの開放感に、これまでの自分がひっくり返ったんです。これさえ着れば、どこにでも行けるし、なんでもできる!って思えて、これは広めなくちゃ!と思いました。子育ては我慢だと、潜在的に思っていた自分のように、そうじゃないことをお母さんたちに伝えたいなぁと思ったんです。

 

「授乳服」は商品ではなく、メディア。提供したいのは、「新しい情報、価値」

モーハウス店内の画像

モーハウス青山ショップの店内

 

Q、「伝える、広げる」ことが柱なのですね。

 

この服を広めたいと授乳服を作りはじめたのですが、商品は全く売れませんでした。自分は何をやりたいんだろうと逡巡せざるを得なかった期間に、私はただ商品が売りたいのではなく、その奥にある「子育てって楽しいでしょ」を伝えたいんだと気づきました。授乳服は、ライフスタイルの選択肢を広げるための、ひとつのメディアです。自分では、当社は情報発信業だと思っています。

 

Q、情報発信業……?

 

自分自身、学生時代からソフトバンクでゲーム雑誌の編集補助をしたり、パルコに勤めていた時代は展覧会などの企画をしたりと、「新しい情報、価値を伝える仕事」にはずっと携わっていました。

 

遡れば小学生のころ、勝手に学級新聞を作って配っていたという黒歴史があります(笑)。人と話したり、人前に出るのは苦手だったのに、自分が見つけたおもしろいことを誰かに伝えなきゃ!という気持ちは、そのころから強かったんだと思います。そのため今も、商品を売ることそのものが本質ではないんです。小学生のころの気持ちと今も一緒かもしれません。

 

「ラク」な生活を追求した結果。ボーダレスなはたらき方

モーハウスで働くママスタッフの画像

モーハウス青山ショップで働くママスタッフ

 

Q、「仕事と子育てを切り離さなくていい」というスタイルの源泉はどこからでしょう?

 

私が商店街育ちであることが起因しているのかもしれません。母親は商店街で食器屋を営んでおり、自宅の前には大きな病院があったことから、幼いころの遊び場は街そのものでした。私も周りの友人も、親が商店街や病院で働いていることがあたりまえの環境でしたから、働いていないお母さんのイメージがないのです。「働くことはあたりまえ」という前提で、いかに楽しく子育てできるか、ラクな方法を考えたに過ぎません。

 

ううむ、ご本人は過去をゆるっと「ふつう」にお話しくださるんですが、発する言葉、発想と行動へのつなげ方が、もはや「ふつう」じゃない気がしています!

 

・  ・  ・

 

以上、ミツハタワールドの源泉を探る【A面】でした。

 

APECを皮切りに、海を超えて共感を得ている「子連れスタイル」。次回【B面】では単刀直入に、モーハウスが生まれたミツハタ流企画プロセスを聞き出します♪

 

<つづく>

 

 

この記事の筆者

さやま あい

さやま あい

中小企業の経営改善業務を起点とし、 現在は、採用・教育コンサルティングから広報領域を専門とする。 巣鴨在住。釣りと料理が趣味の30代。