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2016.05.06

悪条件を個性に転換! 人も街も心豊かにする建築企画【企画人:B面】

 

【インタビュー「企画人」 】
「企画人」は自由だ。働き方も自由だ。理想と現実のギャップを埋めるチカラ、「企画力」があれば、仕事も、はたらきカタも、プライベートも、人生はもっと自由にデザインできる。多様な企画力を駆使してその人らしい生き方を実現している先人たちを訪ね、「A面:生き方・働き方」「B面:企画のポイント」をテーマに話を聞く。

 

akasaka

 

今回の「企画人」は、夫婦で建築事務所「アトリエエスタス」を経営する清孝英さんと中川佐保子さん。さまざまな制約の中でクライアントの理想を実現する建築の仕事は、まさに企画力そのものといえるでしょう。異なるバックグラウンドを持つ2人がひとつになって手がけた案件は多方面で評価されており、数々の受賞歴やメディアへの掲載歴をお持ちです。そんなおふたりの企画力に迫りました。
 

 

※記事は【A面—生き方・働き方】と【B面—企画のポイント】の2回に分けてお届けします。本記事は【B面】です。

 

諸条件には、クライアントの人生がつまっている

akasaka

 

Q.建築には、なにかと制限がつきものだと思います。厳しい条件をどのように解決していくのでしょうか?

 

清:たとえ悪条件でも、それをネガティブにとらえないようにしています。むしろそれが、クライアントの個性や生き方のひとつでもありますから。たとえばリノベーションを担当したクライアントで、丘の上のマンションから、下町の中古住宅に移り住んだ方がいました。

 

一般的に見れば「なぜ?」と思うかもしれません。でもその方には、「人の温かみが感じられる地域で子どもを育てたい」というご希望があったんです。下町の住宅街には、古くから祀られている神社があり旧街道沿いでは毎年盛大なお祭りもあります。そんな近隣の方々と関わり生活していきたいということだと感じました。

 

クライアントは、建築ではなく理想の人生を買うんですよね。私たちの仕事は、建築を通じてクライアントの望むライフスタイルを実現することです。

 

単なる条件から、どの位飛躍するかがポイント

akasaka

 

Q.他にも事例を教えていただけますか

 

中川:港区赤坂の住宅も思い出深いですね。17坪という敷地面積と、陽当たりの悪さが問題になりました。3方をビルに囲まれ、道路に面しているのは東側だけ。高い建物が多い赤坂ではプライバシーも気になります。トップライト(採光や風通りのために屋根に設置する窓)という手法もありますが、それだけでは陽が入るのは最上階だけになってしまい、光にひろがりがない。

 

そこで導入したのが、ライトボックスという箱状のガラス。上と横から降り注ぐ光が、長い時間広い範囲に差し込むようになりました。さらには階段もガラスにしたので、太陽光が1階までふり注ぎます。

 

清:こうした提案は私たちが一方的に提示したのではなく、クライアントと話し合いながら出していきました。クライアントにとって、家づくりは楽しいもの。それをより一層楽しくするのも、私たちの役目です。

 

クライアントが「どうせ無理だろう」と思っていたことに対し、私たちが解決法を提案する。そうすると、パッと表情が明るくなるんですよ。確かにこの仕事は、無理難題に頭を抱えることも少なくありません。でも、解決までのプロセスを楽しむという心構えを持つことが大切だと思います。

 

Q.住みはじめてからの評判はいかがですか?

 

中川:満足していただいており、嬉しく思っています。
実はこの家、採光以外に他にもこだわった点があるんです。それは、夜、照明をつけるとライトボックスから明かりがきれいに発せられるところ。昼は光を取り込むガラスが、夜は光を放つというわけです。

 

街を彩り、一軒家レストランと間違えられることもしばしば。建築は、それ単独で成立するものではありません。住む人も周囲の人も心豊かになれることを目指しています。

 

夫婦だからできる、冷静と情熱の両立

akasaka
 

Q.最後にお聞かせください。お二人にとって企画の極意とは何でしょうか?

 

清:客観的な視点を持つことです。とはいえ、ときにはのめり込まないと良い案が出ないこともあります。その点2人だとバランスが良いですね。たとえばぼくが夢中になりすぎても、中川が冷静に分析してくれますから。

 

解決したい課題があるときは、2人以上で企画に取り組んではいかがでしょうか?

 

おわりに

キアズマ珈琲の画像

■おふたりが設計を手がけた『キアズマ珈琲』

 

おふたりが建築について話すとき、人や街についても必ず触れていることが印象的でした。課題解決に夢中になっていると、つい周りのことが見えなくなりがちです。常に「誰のため」「何のため」という視点を忘れず、複数の意見を取り入れながら企画を進めていくことが大切だと思いました。

 

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この記事の筆者

平田志帆

平田 志帆

正社員、派遣社員、契約社員、パート、日雇い、独身貴族、専業主婦、DINKs、産休・育休、ワーキングマザーと、あらゆる働き方・生き方を経験。 33歳の時、勤務先の日本撤退を機に歯科企業の専属ライターに転職する。35歳で出産し、子育てと両立するためフリーに。得意分野は働き方・キャリアと育児。