バリアをなくし、共感性でつながる。100%土に還る服Syncs.Earth廣田さんが語る共創をうむための秘訣
社会人になって、環境問題に当事者としてアクションしていないのが恥ずかしかった。 そう語るのは、100%土に還る服を提供するSyncs.Earth創業者のひとり廣田拓也さん。 学生時代から社会人になるまで、環境問題を知りながら行動することができなかったと語る廣田さんですが、現在はSyncs.Earthを通して、環境に負荷がないものづくりを実践されています。 3年前に立ち上がったばかりのブランドでありながら、堂本剛さんが手掛ける「ENDRECHERI × ZOZO」とのコラボレーションや、「正藍染つつみ」と取り組む服を藍染して蘇らせるリペアサービスなど、企業の枠をこえて共創している点もPlannersとして注目しています。 そこで今回は、Syncs.Earthの廣田さんに「共創をうむための秘訣」について、ブランドの立ち上げ背景を振り返りながらお聞きしてきました!
この記事に登場する主な人たち
廣田 拓也
「Syncs.Earth」共同創始者
愛知県豊橋市出身。東京農工大学 国際環境農学専攻(修士)卒業後、機械設備専門商社に勤務。マテリアルサイエンスに強い興味を抱き外資系分析装置メーカーへ転職した後、サイエンスの発展に貢献するため米国大手情報通信会社へ転職。起業するため退職し45歳で無職になる。サステナブル関連の起業の難しさを痛感、瞬く間に生活が困窮し会社員へ返り咲く。現在は、シンクスデザインと会社員のマルチワーカー。
愛知県豊橋市出身。東京農工大学 国際環境農学専攻(修士)卒業後、機械設備専門商社に勤務。マテリアルサイエンスに強い興味を抱き外資系分析装置メーカーへ転職した後、サイエンスの発展に貢献するため米国大手情報通信会社へ転職。起業するため退職し45歳で無職になる。サステナブル関連の起業の難しさを痛感、瞬く間に生活が困窮し会社員へ返り咲く。現在は、シンクスデザインと会社員のマルチワーカー。
Syncs.Earthとは?
100%土に還る服をつくる農的循環型ブランド。製造過程で発生する廃棄を0グラムを実現しており、返却を前提とした循環購入の仕組みを実施したりと、土壌環境を考えたものづくりを行っています。
Syncs.Earth公式サイト:https://syncs-earth.com/
服というインターフェイスで入口をつくる
「当時から既に環境問題についての情報が出回っていた」と、18歳で農学部に所属していた頃のことを語る廣田さん。
周りには環境保護に対して先進的なマインドセットを持っている人が多く、こんなに優秀な人が環境問題に取り組んでいるのに、なぜ社会は変わらないのかと疑問に思っていたそうです。
当時の疑問に対する回答が、「インターフェースがデザインされていないということ」です。
「良いことをすべき」という発信では人が入ってこない。だからこそ、インターフェイスをデザインしなければならない。
これが、Syncs.Earthを立ち上げたきっかけであり、その手段が「服」だったのです。
ものづくりへのこだわりを実現する縫製工場
Syncs.Earthのものづくりの原則は、「ごみを出さないこと(ゼロエミッションなものづくり)」です。
生態系の中で完結すること、要するに最終的には服がすべて分解され、土に還ることが条件になります。
そのために、Syncs.Earthの服では、縫い糸以外100%オーガニックコットンを使用し、縫い糸にも通常のコットンを使用したり、Tシャツの首部分のリブ素材にも綿100%を実現していたりと、一般的にはやらない手法で服がつくられています。
通常、わざわざ一つの製品のために縫い糸をコットンに変えることはありません。変えることによってそれだけ手間がかかるからです。
そんなSyncs.Earthのものづくりへのこだわりが実現できているのも、縫製工場の工場長や職人さんがSyncs.Earthのビジョンや価値観に共感し協力いただいているからこそだと、廣田さんは語ります。
バリアをなくし、共感性でつながる
Syncs.Earthでは、ブランドと共感性の高い企業とは積極的にコラボレーションしています。
昨年7月には、堂本剛さんが手掛ける「ENDRECHERI × ZOZO」とコラボし、『和紙T~Retuening to the Earth~』をデザインから製作から土に還すまでの取り組みをプロデュース。他にも、正藍染つつみさんや湘南の天然藍染工房Selvedge Work+iと共に、Syncs.Earthの服を藍染して蘇らせるリペアサービスも展開し、企業間をこえた共創に取り組まれています。
このように共感性の高い企業とコラボレーションする背景には、Syncs.Earthの「Own nothing(所有しない)」の精神が強く関わっています。
廣田さんはこれを「バリアをなくす」と表現し、年代や企業、業界などで線引きをせず、色んな人がつながり連続している状態をつくり出すことで、新しい文明に向かっていけると語ります。
バリアをなくし、共感性でつながるという考え方は、新しいプロジェクトやサービスを生み出していくためのマインドセットとしてとても大切なことだと改めて感じました。
不幸な未来はこないと確信している
最後に、廣田さんへ「2030年までにどんな社会をつくりたいか」を尋ねたところ、「未来に対してwant(こうしたい)はなく、不幸でしんどい未来はこないと確信している。自分で出来ることを考えて行動していくと将来の不安は小さくなっていき、そうすれば2030年はより良い社会になっているはずだ」と、心強い一言を頂きました。
未来に向けて不安がある人も多いかもしれませんが、みんながつながり未来に対して小さくても行動し続けることで、いつの間にかその不安は払拭されるのかもしれません。
当メディアを運営するPlannersでも、持続可能な未来のために行動する個人や企業がつながり、さまざまなプロジェクトをうみ、育てていける場をつくっています。
ぜひ、Plannersに興味のある個人の方、企業の担当者の方はご連絡ください!
取材&執筆:藤井
写真:藤井、粟田
編集:野田