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2020年2月7日

バナナペーパーを作る理由 ― エシカル消費でカンボジアの村を変える

最近、フェアトレードやエシカルという文脈において耳にすることが多くなった「バナナペーパー」。通常の紙とは異なり、バナナがなる木の茎を使ってつくられています。バナナ自体は伐採して1年ほど元に戻るので、紙をつくるために森林を破壊せずに済みますし、バナナをつくっている地元の人々の新しい雇用を生み出すというメリットがあります。

また、2015年9月に国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)の17の目標、たとえば「貧困をなくそう」とか「働きがいも経済成長も」などと言う目標ですが、それらすべてにつながっているという点で最近注目が集まっているのです。
アフリカのザンビアでつくられたものが有名ですが、今回紹介するのはカンボジアでつくられるバナナペーパーです。サステナブルな素材を使いつつ、デザイン性と耐久性にすぐれ価格も手ごろ、まさにサステナブルラグジュアリーな商品がたくさんありました。


日本人がはじめた「新しい産業」が村の雇用を生む

カンボジアで、有名な観光スポットであるアンコールワットは、いまや世界遺産の一つとして多くの観光客が集まります。その独特で美しい建造物が多くの人々を惹きつけ、アンコールワットがある街カンボジアのシェムリアップが多くの人でにぎわっています。しかし、そのシェムリアップから約20キロ離れたところにあるアンルンピー村は、2000年頃からゴミ山がある村として有名になりました。

シェムリアップが観光地としてにぎわう一方で、観光客の捨てたゴミが深刻な問題となっていました。カンボジアでは1993年以降、10%前後のGDP成長率を維持しているにもかかわらず、インフラ整備が遅れており観光客が廃棄していくゴミの処理が課題となっています。そして処理しきれなかったゴミは、観光客の目の届かない、シェムリアップ市内から離れた村に捨てられていました。



アンルンピー村には、そのゴミの山に捨てられたものの中からリサイクルできそうなものを拾い、それを売って生計を立てている人びとがいます。村の中で働くとしたら、大工か農業。そしてお金を稼ぐためには、村を離れて市街地へ出稼ぎに行くしかありません。そんな中、とある日本人が立ち上がりました。

その日本人とは、Kumae Banana Paper Productsの代表、山勢拓弥さんです。

彼がめざしたのは、ゴミ山ではたらく人びとが「やりたいことが実現できる環境づくり」。その一環として、新しい産業「バナナペーパー」づくりのプロジェクトがはじまりました。
バナナペーパーという新しい産業が定着し、バナナペーパーの制作や販売ができるようになれば村には新たな雇用が生まれ、地域活性化につながります。
バナナペーパーが広まり、売り上げが上がればバナナペーパーを制作したり、販売したりする工房ではたらいているカンボジアの人びとはお給料をもらうことができるのです。


ゴミ山から生まれた、廃材を使ってつくるバナナペーパー

そもそも、バナナペーパーとはどういうものなのでしょうか。バナナペーパーが生まれたのは、山勢さんがゴミ山で働く人びとを見てきたからこそ。そこで、なるべくゴミを出さないことを大切にし、果実部分を収穫して刈り取られ、ゴミになってしまうバナナの木や幹の繊維を使って、新しい紙「バナナペーパー」を制作しているのです。本来であれば廃材として処分されてしまう木や幹の部分から繊維を取り出しているため、風合いや手触りもよく、色はやさしいアイボリーやベージュになります。



出来上がったバナナペーパーは、ポストカード、メッセージカードやしおりなどに商品化されて各地に流通するようになりました。日本でも、通販サイトを通じて購入することができます。社会貢献活動の一環として、ショップの紙袋やショップカード、名刺などに利用する企業もあるようです。
また、バナナの茎からできるというユニークな発想が評価され、王様へのレターに使われるなど、カンボジア国内でも浸透しつつあるのだそう。こうした活動はいまもなお、広がりを見せています。


カンボジア発、エシカルな紙づくりを通して変えたい世界

いまでは、バナナペーパーの弱みである「水への耐久力」を高めた「Ashi(亜紙)」も作られるようになりました。これは、ポリエステルとバナナの茎の繊維を混ぜて作る「Kumae Banana Paper Products」が開発したバナナペーパーです。
この技術のおかげで、バナナペーパー本来のやさしい風合いや手触りを残しつつ、耐久性を活かしてバッグやポーチにも利用されているのだそう。日常的に使える商品に利用できる「Ashi(亜紙)」のおかげで、商品の幅がより広がりました。 耐水性もあるAshiは、ポーチなどにも活用されています

こうした一連の取り組みによって生まれたエシカルな新しい紙「バナナペーパー」。これを通じて村の産業を活性化させ、村に住む人びとに仕事への誇りと経済力を生み出すこととなるでしょう。


SDGsのためにわたしたちができること

バナナペーパーは紙なので、わたしたちの生活の中にも簡単に取り入れることができます。たとえば、日本の企業ではバナナペーパーで名刺を作るところもありますし、包装紙や卒業証書にも使われています。
SDGsのため、というと「なにかすごいことをしなければならないのでは?」と思うかもしれませんが、普段使っている普通の紙の代わりにバナナペーパーを使うだけでもSDGsのための取り組みにつながるのです。

Kumae Banana Paper Productsのオンラインショップでは、紙だけでなく可愛らしいポーチやペンケース、ミニトート、PCケースなど紙としての用途を飛び越えたさまざまな商品が販売されています。
いずれもデザイン性にすぐれ、値段もかわいらしいポーチが1,000円以下と決して高いわけではないので、ぜひ一度覗いてみてください。

■Kumae Banana Paper Products オンラインショップ
https://kumae.handcrafted.jp/

ディレクター、クリエーター、コミュニケーターの顔を持つ、 「サステナブルラグジュアリー」な価値をつくるクリエイティブコミュニティ。 あらゆる組織、チームの人たちと、柔軟にプロジェクトを組み、価値をつくっていきます。

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