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2020年7月8日

サマンサタバサの世永さんから聞く。サステナブルな活動を通し、地域や社内をうまく巻き込むのコミュニケーションのコツ

新型コロナウイルスの影響で厳しい状況の酪農家を応援する企画として、那須の森林ノ牧場とのコラボアイテムを販売している、株式会社サマンサタバサジャパンリミテッド。ファッションブランドがどうして酪農? という疑問が生まれますが、じつはサマンサタバサはガーナの教育と雇用問題に取り組んだり、最近では1年かけて福島大学とお米のプロジェクトを行ったり、さまざまなサステナブルなプロジェクトを実施しています。 またそれぞれ、なにかを提供する、お手伝いをするという立場ではなく、福島では社員が実際に田植えや稲刈りをするなど、現地と一緒にプロジェクトを実施してきました。 今回は、現地や社内をうまく巻き込むプロジェクトのコミュニケーションのコツを取締役の世永亜実さんにお話しを伺いました。

社内で居場所をつくり、スイッチを入れる




―サマンサタバサの「福島大学お米プロジェクト」について教えてください。


世永:2019年に国立大学法人福島大学に食農学類という新学部が約半世紀ぶりに創設されて、その学生とサマンサタバサの新入社員と一緒に、日本酒造りのプロジェクトを立ち上げました。参加した学生たちは、みんな小学生の時に震災を体験していて、「本当の意味で福島を復興させたい」という熱いを抱いていました。 そして、福島のおいしい日本酒を若い世代の方たちに飲んでもらうにはどうしたらいいか? ということで、「かわいい日本酒造り」をコンセプトに日本酒造りを田植えから始めました。稲刈りまでの作業を一緒に行い、瓶のデザイン、販促はどうするか? というところや、完成後には実際に東京・福島の店頭に立ち販売会を実施しました。 現地の方にもすごく応援いただき、福島でも5店舗で取り扱っていただき、3千本を完売しました。


日本酒だけではなくスイーツもあわせて開発したプロジェクトはコチラから


世永:新入社員以外に福島出身の社員にリーダーになってもらいました。そして彼に「田植えなどの際にはぜひ家族を招待して活躍する姿を見てもらおう」と話しました。そこで彼のプロジェクトへのスイッチが入ったと思います。実際に稲刈りの姿を祖母や両親に見てもらえたことで、彼の家族もとても応援してくれました。 また、取締役という役職にある私がこのプロジェクトを認めて、自分も子連れで稲刈りに参加したりすることで、社内の中でのプロジェクトの居場所作りを大切にしました。やはり何度も福島に行ったりするので、社内には単なるサイドプロジェクトではないというのを示す必要がありました。 無事完売して、きちんと結果も出したのでよかったです。

背景に共感して、自分の言葉で語れるように




―サマンサタバサでは、福島より前にガーナでのプロジェクトも行っていますね。


世永:2018年に開校した認定NPO法人Dooooooooが運営する「Doooooooo School」。ここに通う280人の子どもたちが学校へ通う時に使用する“通学バッグ”を寄贈することになりました。このNPOは、学校をつくったり、工場をつくって現地の雇用を生み出したりしており、この寄贈には「現地で生産したもの」という条件がありました。 そこで、サマンサタバサのデザイナーに現地で製作できる資材選択や、デザインを行ってもらい、ガーナの現地工場で製作して寄贈しました。またコラボカゴバッグもガーナの現地工場で製作して、日本で販売し、売り上げの一部をDoooooooo Schoolの教科書としてさらに寄贈しました。 翌年も新しいガーナ発のかごバッグを生産して日本で販売し、売り上げの一部をノートとして寄贈しています。


―ガーナで生産して、日本でも販売してその売り上げの一部がまたガーナにまた寄贈されるという循環のカタチでは、日本でしっかり売り上げをあげるのが大事ですね。


世永:現地でプロジェクトを行っている代表の銅冶勇人さんに来ていただいて、ショップスタッフたちと一緒に話しを聞ききました。すると、すごくスタッフが共感をしてくれて、実際に店頭での言葉にもその想いが表れていたと思います。 そこで、みんな誰かのために何かをしたかったのだなと実感しました。


サマンサタバサ 表参道GATES ポップアップ デジタルストア にて以前、販売した時の様子(現在はお取り扱いはありません)


世永:今回の福島プロジェクトでの成功で、今まで接点がなかった分野でも結果を出せることがわかったので、今後もサマンサタバサのガールズマーケットでの知見をいかして、さまざまな分野と一緒に社会に貢献できる様々なプロジェクトを実施していきたいと思います。

おわりに

ファッションというブランド力を生かして、実際のモノづくり、デザイン支援、啓蒙活動などさまざまな取り組みをしているサマンサタバサ。世永さんが話しの中で何度も「きちんとビジネスにして、継続させることが大切」と言っていたのが印象的でした。 ガーナでの現地生産、日本で販売し、さらに寄付につなげる循環の仕組みはまさにその言葉を体現しています。また、福島での取り組みも実際に現地で田植えなどを一緒に行うことが現地の応援や協力につながりました。またそれを実行していく社内のスタッフとのコミュニケーションにより、プロジェクトが成功したのだと思います。 今後もサマンサタバサのサステナブルなプロジェクトが楽しみです。


世永亜実 サマンサタバサジャパンリミテッド非常勤取締役 オイシックス・ラ・大地Special Planner/People’s Adviser。 大学卒業後、芸能プロダクションのアミューズ勤務を経て、 2002年にサマンサタバサジャパンリミテッドに転職。 同社のブランディングやマーケティングを統括。 2008年に執行役員、2012年に上席執行役員に就任。 2007年に長男、2011年に長女を出産。 2019年新しい働き方へ転向し、パラレルキャリアを実現。 初の著書が2020.7.13発売 「働く女性たちへのラブレター、そしてその女性たちと共に働く上司の皆様への応援歌的な本です。(世永)」 働く女性のやる気スイッチ 持てる力を120%引き出す並走型マネジメント』(翔泳社)
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