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2020年12月4日

農園をはじめたキッカケは、食に対する思いから。「自給農園めぐみの」湯本高士さんのこだわり。

  「食に対する安心感が欲しい」

山梨県八ヶ岳で自給自足農園「めぐみの」を営んでいる湯本高士さん(@megumino0831 )。自給自足をモットーに、新鮮な野菜と米を育てながら、農園で家庭菜園講座や農体験イベントを企画されていて、老若男女問わず幅広い方々が畑作り体験をされています。

湯本さんは東京生まれ・東京育ち。畑はもちろん”土のある暮らし”とは遠いところで暮らして、農業とはほとんど関わることのない幼少期を過ごされています。

そんな湯本さんが農業に触れるようになったきっかけは、”食への漠然とした不安”からでした。

なぜ、農業のことを考え、実際に行動することができたのか。今回は、湯本さんが農業に興味をもち、実際に農園を営むまでのきっかけや、農園づくりでのこだわり、挑戦についてお話をお伺いしました。

食に関して不安を感じていた少年時代とこれまでの歩み



ー農業に興味をもったきっかけは何ですか?

湯本:僕は東京都の街中で育ち、父母も東京生まれ、東京育ちでした。なので、田舎に遊びにいくのに憧れを持っていたんです。田舎のおばあちゃんの家に遊びにいく、みたいな。なので幼い頃から”土のある暮らし”に何となく興味がありました。

1970年のオイルショックで、スーパーからトイレットペーパーやティッシュがなくなったことを勉強した時に、それが食べ物で起こったらと思うと・・・と不安に思った小学校時代でした。農家との繋がりはもちろんなく、どこかで作られたお米と野菜がスーパーに並ぶのを手にはするけど、そこに何かあった時に僕らはどうやって食べていけばいいんだろうと不安を感じていました。

中学校の林間学校は、迷わずに農業体験を選びました。そのくらい農業に興味があったんです。

ーそうだったんですね、そこからまた何か農業に近くきっかけはありましたか?

中学校の時、青年海外協力隊を通じて貧困や飢餓、環境問題など人間の営みが環境に与える影響を知りました。僕も何か貢献できたらいいなと思い、農業での国際協力を目指して東京農業大学へ進学します。青年海外協力隊を育てる学科があるんです。どこかの国にいって、農業の技術でどうにかしたい。そんな思いで進学したものの、大学四年間を通して海外ではなく日本の農業も何とかしないと思ったんです。

ー日本の農業にも懸念を覚えていらしたんですね。そこからどんな道を歩まれたんですか?

湯本:日本の農業に貢献するためには、一人の農家としてやっていっても限りがあると思いました。そこで、大きな影響力を持って、持続的な農業の方法を学ぶことを目指して、ワタミ株式会社に就職します。ちょうどその会社が自社で使う野菜をオーガニックで育てることを始めたいたので。一年で農業部門に行けるようになったので、ワタミファームというところで働くようになりました。そこで有機農業の基礎を学びましたね。

ーそこではどんなことを感じていましたか?

湯本:そこでは大規模農業をやっていて、だいたい10ヘクタール程度。ただ規模を追うのは、いくら有機でも自然にも人にも負荷がかかって、持続可能ではないと思ったんです。特に人にとって優しくないですね。朝から晩まで農作業して疲弊してしまっていました。

ーそうだったんですね。でもなぜそこまで農業にこだわることができたんですか?

湯本:やっぱり食への安心感が欲しかったのと、環境問題へのアクションをしたかったからです。そんな時に、毎日作って売ってを繰り返すだけではない、どうしたらいいんだろうと感じていました。

生産者だけが「有機農業やってます」だけでなく、生産者と消費者と一体になって欲しい、そう思ったんです。

生産者だけで農業を回すのはモッタイナイ

ーなるほどですね。生産者だけでなく、消費者にも農業に関わってもらうということですね。

湯本:そうですね、消費者の方にも、農業のことや有機栽培のことなどを実際に現場に来てもらって知ってもらうんです。自分たちの暮らしと自然が調和するようなライフスタイルをみんなに送って欲しい、都市と農村を繋ぐ仕事をしたい。そんな思いもあって、ワタミファームを退社しました。

ーそこから、山梨と関係のある暮らしになっていったんですよね。

湯本:2009年に、山梨市の農業スクールに参加したんです。特に農業を学びたいという訳ではなく、農家さんとの関わりが欲しくて。それで週末農業スクールに参加して、山梨に農家さんとの繋がりができました。

2010年に第一子が誕生したタイミングで山梨に移住する話になって。そこで、僕が参加していた週末農業スクールの講師をさせてもらえることになりました。なので、そこで働かせてもらうのがきっかけですね。

そこから二年間、農家で働いたり、講師をしたりと準備期間を経ました。そして、(ぶどうが有名な山梨だけど)野菜とお米中心で作りたいと思って、八ヶ岳に来たんです。 ーそうだったんですね。野菜とお米をメインにする理由はありますか?

湯本:「めぐみの」も自給農園という名前をつけている通り、自分たちの食べるものを自分たちの手で作りたい、だからお米と野菜をまず作ってみたいと思ったんです。それが作れるようになった時に食に対する安心感を得られるのではないかと思ってやってました。

ー食に対する安心感がキーワードですか?

湯本:そうですね。東京生まれ東京育ちな僕にとって、食材が買えなくなってしまうんじゃないかという不安があったので、1番の安心は自分で作るか、農家さんと繋がりを持つか、でした。だから自分で作れるようになろう!と思ったんです。

自給自足農園の立ち上げ

ーそこから「めぐみの」を立ち上げられていますが、場所作りにこだわりはありますか?

湯本:例えば、他の農家さんはあまり子どもを畑に入らせてもらえないって言ってますが、僕の畑は入ってもらっていい、むしろ入るように畑を作っています。野菜の畑で子供が中に入るのは珍しいのかな。例えばキャベツ畑しか植っていない単一栽培では、キャベツ収穫しか体験できないけど、ナスやきゅうりといったいろんな野菜がなっていたり、もいでその場で食べられるのは新鮮な経験になると思います。畑ツアーをすると喜ばれますね。楽しんでもらえるような、気持ちいいといってもらえるような畑作りを目指しています。

ー気持ちいいといってもらえるような畑作り、素敵です。私もぜひお伺いしたいです。他にも、シェア田んぼサービスをされていますね!

湯本:やっぱりニーズがあるんです。家庭菜園講座を卒業された方から、田んぼや畑での野菜作りもやってみたいという声がありまして、じゃあやってみようとなりました。

その時に参加者の方がメリットを感じる仕組みはなんだろうと考えた時に、参加率に応じてお米を分配する仕組みを確立させたんです。みんなで作る田んぼで、予約販売のように関わった人たちに買ってもらうという仕組みです。みんなにはできないところを僕が代行していて、誰も損しないやり方を選びました。三年くらい続けましたね。来年以降はまたニーズに合わせて形を変えてやっていきたいと思っています。

ー新しい挑戦、ということですね!具体的にどんなことを考えていらっしゃいますか?

湯本:今考えているのは、繋がりに価値を感じてもらえるようなネット上のオンラインコミュニティですね。例えば会員価格で商品を購入できることにプラスして、月一で農体験イベントに参加できるような、オンラインとオフラインを融合したものをやりたいです。あとは僕の農園の畑仕事を手伝ってもらう。参加した度合いに応じて野菜やお米がもらえるようなコミュニティの仕組みを作りたいですね。

ーそれが今後の取り組みのひとつですね。

湯本:そうですね、やっぱりみなさん食べ物に意識を向け始めているので、オンラインでそこのニーズを満たしていきたいんです。実際に足を運べる人は、自給自足している農家さんとの繋がりを持っていただきたいですね。

あとは、リアルに会えなくても、農体験をしていけるような仕組みづくりをすること。今までは八ヶ岳に来れる人だけになっていたけど、これからはWeb上のサービスを使いたいと思っています。例えば、プランターなどおうちでできる家庭菜園を教えたいです。そして、Web上のノウハウをコンテンツ化、一回話した内容が残っていくような仕組みづくりをしたいと思って、YouTubeも始めました。あとは「めぐみの」を宿泊施設として許可を取って、癒しの場として五感を刺激できるような場所にしたいと思っています。

まとめ

山梨県八ヶ岳で自給自足農園「めぐみの」を経営されている、湯本さん。少年時代の漠然とした食への不安から、食のルート、農業の道にすすむきっかけなどを深く教えてくださいました。

農家さんが作物を作り、スーパーに並んだものを我々消費者が購入するのではなく、生産者と消費者が一緒になって農業をすることで初めて、食に対する安心感が得られるという、すごく納得する言葉に胸が熱くなりました。 また、湯本さんにとっては「ご縁」も大切なキーワードで、湯本さん自身の「ご縁」や繋がり、そして農園での教え方やストイックな姿勢についてもお伺いしています。

▶︎農園を通じた人との「ご縁」を大切にする湯本さんの教えのモットーと創造力の源


おうち時間が増えた昨今の状況、食への不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。湯本さんは今後家庭菜園講座も開かれるそうなので、ぜひ、HPをチェックしてみてください。

▶︎「自給農園めぐみの」HPはこちら

湯本高士 Instagram / Facebook

東京都大田区生まれ。中学2年生の時に自然環境を守り、人の役に立つ仕事/農業での国際協力を目指し、東京農業大学へ進学。外食企業/グループ内の農場部門/アグリツーリズムを通じて生産者と消費者をつなぐことに可能性を感じ、旅行会社での営業職経験。週末農業スクールやパーマカルチャー塾での農の講師を務め、独立。 2014年から自給菜園講座を開設し、今までにのべ300名近い受講生の方々に指導。先進国の暮らしを自給自立することが最大の環境保全であり、真の国際協力であると確信し、衣食住エネルギーなど生活全般を消費者と共に自給する自然循環型の農園づくりを目指している。


ライター :河原あい
管理栄養士/環境共生学(修士)環境に配慮した暮らし方のひとつとしてヴィーガン生活を送っている。現在株式会社アイクリエイトにてライター業務、SNS運用業務を行う。現在博士課程在籍中(環境共生学)