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2020年12月30日

都会暮らしから未知の土地「島根」で出雲SPICE LAB.を立ち上げた山田健太郎さんの可能性の見つけ方

チャンスは一年に一回、だから面白い

島根県雲南市にて、クラフトコーラを販売しながらスパイスを通して地域の農業課題に取り組まれている出雲SPICE LAB.の山田さん(@izumo_spicelab )。

出身は大阪、大学進学をきっかけに東京という都会中心で過ごして来られた中で、島根県に可能性を見出して移住を決意されています。

出雲SPICE LAB. 誕生の背景にある島根に移住を決意したきっかけや、知らない土地で心がけていること、農業への姿勢などについて、お話を伺いました。

東京から島根に移住を決意



ー山田さんが農業を始めるきっかけは何でしたか?

山田:もともとは東京で、農業とは関係ない仕事をしていました。でも、せっかく生きていく上で仕事するなら、何か心から面白いと思えること、自然に関する事をやりたいと思いました。そこで、千葉県の松戸で畑を借りて、実際に耕すようになったんです。

ー心から面白いと思えることが農業だったんですね。そこから、どうして島根県に関わることになったのですか?

山田:松戸では夏野菜を育てていたんですけど、面白さやしんどさ含めて農業ってすごい仕事だと思ったんです。当時東京で働いていた時の仕事の単価の違いに気づきました。東京だと一つの仕事が大きな額になるのに、野菜は何百円の世界で。そこも農業の面白さだと感じていました。

そんな時、島根県で友人がある食品会社を立ち上げることになって、一緒にやらないか?と誘われたんです。でも島根県内の知り合いはその社長だけで、他は知らない人ばかり。いきなり島根に移住します!とは言えなくて、最初2年間くらいは東京と島根を行き来していました。そこからどんどん島根の人たちと触れて顔を知ってもらい、加えて東京の生活が肌に合わなかったというのもあり、移住を決めたという感じです。

ーなるほど、そちらの会社ではどんなことをされていましたか?

山田:お米に関することをしていてました。島根では「仁多米」という品種がよく売れるのですが、逆に地域の方が丁寧に作られたお米が売れないという問題点がある。そこで、地域興しのために宮内舎でそのお米を購入させてもらい、例えば玄米からラーメンの麺やパンケーキミックスを作って販売する、という仕事をお手伝いさせてもらっていて、今でも半分はそこで働いている形です。

地域への還元を目指し、出雲SPICE LAB. 誕生





ーはじまりはお米だったんですね!そこからどうスパイスに転換されたんですか?

山田:始めた当初は、お米の麺類やパンケーキミックスなんてなかったのに、最近はグルテンフリーが一般化してきたのもあってブランド米でも同じようなことをを展開されるのが一般的になってきました。ブランド米がそのフィールドに来られると、また同じことの繰り返しになりそうな気がしたのです。

ブランドがあるお米に対して、麺やパンケーキミックスなど新しく自分で価格決められるものを作り続けるというサイクルはかなり難しいと感じました。

とはいえ、やりがいがあるのでそちらの手伝いはするのですが、それ(お米)だけでは地域の助けにならないかもしれない。もちろん僕らの活動で解決できるわけではないけど、島根に移住した以上地域のために何かをしたいと思ったんです。

そこで、変化球的に何かできるものをしくて試行錯誤し、さらに雲南市はスパイス(特に唐辛子)を取り上げたいという意向もあったのでスパイスにたどり着いたんです。



ーそうやってスパイスにたどり着いて、出雲SPICE LAB. が生まれたんですね。

山田:そうですね。スパイスを育てる際の農業に関しては、雲南市の地域の有機農法塾のメンバーの方々に教えてもらいながらやりました。そんな時、出雲SPICE LAB.として農業をやりながら、販売や販路を島根だけで完結させるのが難しいと思って、前職で後輩だった現在はもう一人のメンバーである中野さんに声をかけて、遠隔ですが手伝ってもらっています。それとは別にもう一人の後輩(遠藤さん)も、遠隔ながら手伝ってくれていて、今は3人で運営していますね。

ー主要メンバーは3人ということですが、農業自体は山田さんがされているということですね。その農業の勉強期間はどれくらいでしたか?

山田:もともと東京で働いていた2年目くらいから千葉県の松戸で畑を借りて耕しながら、実践的に学んでいました。そこから島根に移住2年半、土に携わることをやりながら学んでいて、千葉県の二年間と移住した後の2年の4年間で農業を学んでいるという感じです。

自分のものさしで物事を測らない





ー地元の人に実際に農業を教えてもらうことになったと思いますが、何かコミュニケーションをとる上で心がけていることはありますか?

山田:大きく分けて二つあります。

①地域の人がどんなことを考えているのか意識する。

宮内舎の社長の奥さんのご実家が大きな酪農家さんで、そこの堆肥がその地域の有機農法の中心だったんです。なので、顔もきくし、そんな方の繋がりがある肩書きを持たせてもらっていて、その分顔に泥を塗りたくないと思いました。なので、地域の人の考え方を勉強しました。

②東京で働いた時の価値観(ものさし)でいろんな物事を測ったりするのはやめる。

田舎はそのものさしがだいぶ違うんです。なので、都会のものさしで判断すると対立してしまいます。この人はどんなものさしで測っているのか、地域内の常識はどんな風なのか理解することを大切にしました。

それって実は奥が深くて、例えば、地域の農家さんはお盆前どれだけ暑くても畔の草刈りをします。それはお盆のご先祖さまが帰ってくる時に道を綺麗にしておきたいという考えからなのです。都会のものさしとなるとそれって効率悪い、って言いたくもなりますが、相手が何を考えているかを考えて行動すると、なるほどなってなるんです。そこを理解して行動すると、地域の人たちも「あいつは頑張る奴」と認めてくれるし助けてくれるようになりました。

地域の人がどんな物事を考えているかを知り、自分よがりのものさしで物事を測らないようにする、これが気をつけたことですね。

限りある打席にどれだけ立てるか





ー農業を始める上で大変だったことはありますか?

山田:例えば今年の春先にスパイスのひとつで使うための生姜を大々的に畑半分くらい(150kg)くらい耕したんですが、1kgも採れなかったんです。商品のためのものだったので、地域の農家さんの生姜を使うことで対応しましたが、その原因が今もわからなくて…おそらくこうだろうなっていうところはあるんですけど、農業の知識不足や経験不足を痛感しました。何のために苦労してやってきたんだろう、って思ってしまいました。なので、地域の農家さんに話を聞いて、生姜の農法や原因を一緒に考えるっていう良い経験にもなりました。ただ自分がやっていることが報われなかったことがショックでしたね。

ー自然のことだと、こちら側でコントロールできないですもんね。

山田:そうですね。ただ、他の作物は育ったということを考えると、種や土との相性などもあるので、来年はこういった教訓を生かしてやっていきたいですね。

東京はPDCAが早いけど、農業は次生かせるのが来年じゃないですか。僕らが生きて農業できる間でのチャンスはあと30回くらいしかない。その中で限りある打席にどれだけ立てるか、それが農業の難しさや面白さなんです。

まとめ


島根で農業を営みながらスパイスを使ってクラフトコーラを作り続ける出雲SPICE LAB. 山田さん。お話される姿はずっと活きいきとされていて、終始エネルギーを感じる時間でした。

全く知らない土地でありながら、そこに慣れ親しんでいくには相手の気持ちを考えることを大切にするという山田さんの考え方は、いつどんな時でも大切なことではないでしょうか。

また、山田さんにはそのユニークなアイデアを生み出す企画力についてもお話をお伺いしています。

▶︎「こだわりを詰め込む」で価値は生まれる。出雲SPICE LAB. 山田さんの企画力

新しい知識を知るときのワクワクをもっと多くの人に知ってもらいたいという山田さんの気持ちは、クラフトコーラのパッケージにも表れていますので、ぜひお店のHPをのぞいてみてください。

▶︎出雲SPICE LAB.

山田健太郎

出雲SPICE LAB.代表。世界一周の旅をはじめとし、全50カ国以上を旅する。その経験の中で培った世界中の食べものやスパイスの知識をベースに、2018年より島根県で農業を基盤にしながら出雲SPICE LAB.を立ち上げ、活動中。また、合同会社宮内舎のディレクターも担当し、地域に根差した活動を行っている。

出雲SPICE LAB. instagram / Facebook

島根で耕作放棄地を再耕作して農薬や化学肥料を使わずスパイスを育てたり、誰でも安心して手に取れるよう、無添加の商品を手づくりで提供しています。
スパイスを通して、耕す人も、創る人も、手に取る人も。関わるみんながちょっとわくわくしちゃう。そんな世界を作り出せないか、と日々小さな挑戦をしています。

ライター :河原あい
管理栄養士/環境共生学(修士)環境に配慮した暮らし方のひとつとしてヴィーガン生活を送っている。現在株式会社アイクリエイトにてライター業務、SNS運用業務を行う。文章を通じて人々に心と体を豊かにして欲しいという思いで執筆活動中。