About Contact
2021年2月24日

環境に良いものがそばにある世界を目指す。FSC認証「&CRAFTS」山本瑞穂さんの挑戦

山梨県のFSC認証木材を利用して雑貨を販売している&CRAFTSの山本瑞穂さん(@andcrafts_ )。国内では珍しい環境に優しい木製品として、県内外で多くのファンを魅了しています。

ひと手間加えるの意味が込められた&CRAFTSというブランド、そんな山本さんの価値観を構築したきっかけは、海外経験でした。そこから感じる課題や、今後の目標、取り組みなどをお聞きしています。

海外との差で感じる課題



ー前回は、&CRAFTSの立ち上げやFSC認証のきっかけをお聞きしました。そのアイデアや想像力がすごいのですが、&CRAFTSを立ち上げる前って何をされていたんですか?

山本:もともとは眼科に勤めていて、5年くらい経った後に経験値の一つとして、ワーホリでオーストラリアに一年留学していました。

ー海外にいかれてたんですね!その時の経験で今につながっていることってありますか?

山本:そうですね、その時、ものの価値観や考え方が日本と海外じゃ全く違うということに気づいたんです。

例えば、海外では、高いお金を払えば美味しいものが食べられる、質の良いものを身に着けることができる。その考え方が軸になっているからこそ各々が考え、オーガニックや無添加、ヴィーガン、サスティナブルなど自身の生活スタイルに合わせた選択に需要があるように感じます。もちろん日本も同じですが、私を含め日本人はもっと完璧主義で、日本製=安心が保証されているという感覚が強い。常に”便利で安価で高品質なもの”が求められます。

ー確かに、チェーンの外食も美味しくないといけないってどこかありますね・・・

山本:ですよね。あとは、海外だと築100年の家とかあって、オーナーが変わって住み続けるけど、日本は少ないように思います。もちろん耐震の問題などあるのも理由ですがそもそも、木製品を自分でメンテナンスする場面が少ないんです。

「木製品はケアがめんどくさい、苦手」という意識を持っていている日本人は多いんですが、それはやり方を知らないだけなんです。安価な天然木風のイミテーション製品の普及により木製品が一生このままであることが当たり前になっていて、割れ始めると焦る。反ったり割れたりしたら不良品とみなされる。ものすごくモッタイナイですよね。革製品は変化を風合いと捉え、喜んでメンテナンスをしていくのに…そこも変えていきたい価値観のひとつです。

ーなるほど、そこで&CRAFTSの良さである「ひと手間加える」のひとつにメンテナンスやケアが入っているんですね…!!!さすがです。

海外製品との差別化



ー結構海外の木製品も世に出回っていますが、&CRAFTSの商品はそこの差別化ってどうですか?

山本:実はそこは課題のひとつで、とても難しいですね。今は100円ショップで海外産の木製品が手に入るようになって、すごく安い。そういったものと国産を比べると、生活水準も違う国で作ったものなので、クオリティも価格も違うじゃないですか。でも、それがなかなか理解されないんです。

特にFSC認証がまだ世の中に浸透していないので、伝わらないし、価格で負けてしまうんです。

だからといってそこで価格勝負してしまうと、そこで作ってくれている職人さんに失礼になってしまう。海外製品と価格で張り合うのは違うと思うんです。安ければいいというものでもないし、FSC認証の目的として、経済的な継続性の維持が義務付けられている以上、過度な価格交渉は違反行為にあたります。

今はどんどん職人後継者が減っている中で、お互いが納得し、協力していかないと素晴らしい技術は衰退してしまう。かといって買う側は高いと躊躇してしまう。なので、1つの製品にできるだけ多くの用途を持たせ、独特な世界観を前面に出した商品設計をしています。

サステナブルとデザイン、そして職人技をひとつにしなきゃというところが課題です。

ーなるほど、最近は安くてワンシーズンより、高くていつまでも使えるものを購入したいという人が増えているので、その流れはぜひ今後も応援させてください!

ブランドを作る上での課題



ー&CRAFTSというブランドを立ち上げてから大変だったことや課題だったことはありますか?

山本:大きく分けて三つ考えています。

①FSC認知度が低いことによる伝わらなさ。
少し前までは、環境に優しいということを訴えても振り向いてもらえなかったんです。どういう風に環境に良い商品と訴えると良いか、日々考えながら仕事をしています。

②外国の商品との価格競争
これは先ほども言った通りで、職人さんを守ると言った意味でもここは譲れないですね。

③全てを環境に優しいものに変えるのが難しい
私たちの商品には、もちろんプラスチックの包装を使わないようにしたいと思っています。ですが、木製品は木目がひとつひとつ柄や色、風合いが違うから、中身が見えないと困るんですよね。紙の箱だと中身が見えない、かといって丸裸のままで商品を置いておくと、それもそれで問題があります。木製品はひとつひとつの個性を含めたデザインなので、なかなか透明性をもった包装を手放せないジレンマがあります。

ーそれは難しいですね…

山本:そうですね、自分たちの中でプラスチックを使わない方法の構成は練っているんですが、今の日本人の”完璧”という思考や国民性を考えると、中身が見えて清潔で一個ずつ選べる透明の包装を排除できないですね。

以前箸置きのセットを台紙包装して販売していたんです。ところが、あるお店に納品していて、様子を見にいったらビニールで全部包装されてしまっていたんです。そう考えると、”環境問題”という定義が漠然とし過ぎて、商品に込められた想いや背景がピンと来てないんだと思いました。

自分たちのポリシーとして環境配慮やサステナビリティーを訴えても、響かない雑貨屋さんもあるので、なかなか難しいですね。プラスチックを使わないという包装を良しとしてくれる方、ファンが増えてくれれば良いなと思っています。

脱プラは難しい、けど代用品さえみつかれば簡単だと思うんです。だからこそモヤモヤしてしまって、1番の課題です。

個人でなく協力して環境問題に取り組みたい



ー山本さんの、今後の目標や取り組みを教えてください。

山本:環境問題、これってとても大きい問題で、だからこそ個人戦ではなく協力体制、いろんな企業と協力して商品開発していきたいと思っています。

自分たちは木工業界に対する環境問題の取り組み方はある程度把握しているけど、飲食関係やアパレル関係ではどうなの?といったところを知りたいと思っています。全然違う業界がどんな取り組みをしているか知れば、新しいビジネスやデザイン設計が生まれるんじゃないかなと思って、できるだけ多くの会社さんと関わっていきたいと思っています。

ー確かに…あの、山本さんの環境に対する行動力や熱意が物凄いです…!

山本:実は最初、「全然ダメだ、やっても意味ない」と思っていました。周りの友達も、私が何をやっているか知らない人も多くて。なんでかというと、山梨県に森や木材があり過ぎて興味が薄れるんです。山梨自体がトレンドが遅れてくる、疎いんです。でも、外のものを欲しがるので、県内のものに目を向けるというよりも周りの首都圏のものを取り入れたがるところが強かったです。

だからこそ実は私たちは県外の人が山梨の魅力を知ってもらえるよう逆流入を狙っています。

山梨県の約80%は山なので、山梨県の売りにすべきだし、かつFSC認証で環境にも優しいことを発信していけば、新たな活用方法を見い出しながら木材が動くようになると思います。より良い素材が山梨で育って、高品質な木材が流通するようになれば良いなと思って、頑張っています。

ー商品だけでなく山本さんの考え方がもっと広がって欲しいなと思います。

山本:私の思いとしては、もっと環境に優しい商品が、すぐそばにある、苦労せずに手に入る環境が増えたら良いなと思います。そういうものってやっぱり、都心・都会に集中していて通販でしか手に入らないじゃないですか。でもそうではなく山梨自体でもう少し盛り上がってサスティナブルな商品を使うことが当たり前になる空間づくりが地元でできたら良いなと思っています。

▶︎FSCとSDGsの関係はこちら

まとめ



山梨県の県有林であるFSC認証の木材を使って、環境と人に優しい雑貨を販売している&CRAFTSの山本瑞穂さん(@andcrafts_ )。お話をお聞きしている間も、お話の姿に環境問題に対する強い思いが伝わってきて胸が熱くなりました。

海外経験で感じた日本の完璧を求める価値観、そしてその海外で作られた製品との差別化、さらにはプラスチック包装への挑戦。山本さんの「未来をより良いものにしたい」という思いは、今後も&CRAFTSを通してさらに先へ進んでいきます。

こちらの記事では、そんな山本さんが&CRAFTSを立ち上げるきっかけとなったヒストリーやFSC認証についてお話をお伺いしています。
▶︎FSC認証木材の価値を守る &CRAFTS 山本瑞穂さんのブランド作りのきっかけ

&CRAFTSの心温まる雑貨はこちらから、ぜひのぞいて見てください。 ▶︎&CRAFTS HP

&CRAFTS Instagram

山梨県産FSC認証材を使用した木製品ブランド。“ひと手間加える”をテーマに設計されるプロダクトは、多様化した生活スタイルや文化とサスティナブルを掛け合わせた独特な世界観が特徴。素材を最後まで使い切る事を目標に、内装やオーダー家具の提案からテーブルウェアなどの細かい製品の製造、プロデュースを行う。

山本瑞穂 instagram / facebook

&CRAFTS創設者。山梨を拠点に現在はブランドディレクターとして自社商品の開発製造や他社とのコラボ商品の企画提案などを行っている。