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2016年5月5日

【A面】アトリエエスタス建築家夫婦の繋がりを大切にした暮らし企画

【インタビュー「企画人」 】 「企画人」は自由だ。働き方も自由だ。理想と現実のギャップを埋めるチカラ、「企画力」があれば、仕事も、はたらきカタも、プライベートも、人生はもっと自由にデザインできる。多様な企画力を駆使してその人らしい生き方を実現している先人たちを訪ね、「A面:生き方・働き方」「B面:企画のポイント」をテーマに話を聞く。


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今回の「企画人」は、夫婦で建築事務所「アトリエエスタス」を経営する清孝英さんと中川佐保子さん。さまざまな制約の中でクライアントの理想を実現する建築の仕事は、まさに企画力そのものといえるでしょう。異なるバックグラウンドを持つ2人がひとつになって手がけた案件は多方面で評価されており、数々の受賞歴やメディアへの掲載歴をお持ちです。そんなおふたりの企画力に迫りました。  

※記事は【A面—生き方・働き方】と【B面—企画のポイント】の2回に分けてお届けします。本記事は【A面】です。

結婚と同時に独立。それぞれの強みを活かして新しい力に

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Q.なぜ夫婦で事務所を立ち上げたのですか

それぞれ別の建築設計事務所に勤めていて、いつかは独立したいという思いがありました。2人とも同じ業界にいながら違ったジャンルの仕事をしてきたので、一緒にやることで新たな価値を生み出せるんじゃないかと。お互いの仕事が一区切りついたタイミングがあったので、2005年に結婚と同時に独立しました。

Q. 独立前は、どのようなお仕事をしていたのですか?

清:ぼくは大学時代の恩師の建築家が設立した事務所で働いていました。住宅から駅や博物館など、企業がらみの大規模な案件も多かったですね。

中川:私は若手建築家の下で働いていました。扱っていたのも個性的な住宅や店舗、ブランドショップなどが多かったですね。 とにかく二人とも忙しく、息をつく間もなく働いていました。独立したのは、ひとつひとつの仕事にじっくり取り組みたかったからでもあります。

Q.どんな依頼が多いですか?

中川:住宅、テナント、ビルなど、幅広くやっています。ただ独立当時は住宅の中でも狭小住宅の物件が多かったですね。

わずか10坪の土地に、オフィス兼自宅を建てる

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Q.このオフィス兼自宅も狭小住宅ですよね。建てられた経緯、広く見せるコツなどは?

中川:子どもが生まれて当時住んでいた家が手狭になったので、最初は中古住宅かマンションを探していました。でもなかなか理想の物件が見つからず、たまたま見つけたのがここの土地。広さは10坪で、建坪はたったの6坪です。正直「大丈夫かな?」と思いました。

清:今まで手がけたどの狭小住宅よりも狭い土地でした。確かに厳しい条件だけど、厳しければ厳しいほど逆に燃えますね(笑)

あらゆるシミュレーションを行い、実際に図面を引きました。そして結論は、「いける!」

屋根の角度に合わせて階段を設置してスペースを最大限活用したり、スキップフロア(フロアの高さをずらして階段でつなぎ、多層化する手法)で7フロアの構成にしたりと、あらゆる方法を取り入れました。夫婦で仕事をしつつ娘との時間も楽しめる家になり、満足しています。

人とのつながりが、企画力をアップする

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Q.ところで、アトリエ名の「エスタス」とはどういう意味でしょうか?

清:表記はS+、つまり、「S足す」です。清(Sei)、佐保子(Sahoko)と、お互いの名前に共通しているSの文字に、色々なものをプラスしていく。建築は、単独でできるものではありません。あらゆる人や環境が関わり、初めて成立します。そうした関係性やつながりを大切にしたいという想いが、「エスタス」には込められています。

Q.素敵な由来ですね! 人や環境との関係性とは、たとえばどんなことでしょうか?

清:建築は、敷地環境やお施主様はもちろん、工事業者や多くの人が関わって完成します。建築は設計者の発想だけでなく、それらの関係性からより良いものが生まれると考えています。さらに最近では、建築家同士の繋がりにも刺激を受けています。

具体的には、8人の建築家と共に「学大×建築家」という学芸大学駅を拠点とする活動を行っています。建築設計を通じて「暮らしと街をデザインする」ことが目的です。

また、敷居が高いと思われがちな建築家と出会いの場になることも期待しています。他の建築家と関わることで、新たな発見があったり、自分達を再認識できたりします。

中川:一人でできることには限界がありますよね。課題を解決するには、あらゆる価値観やバックグラウンドを持つ人たちの知恵を借りることも大切です。

【B面】では、陽当たりの悪い17坪の土地での建築に臨んだエピソードや、企画に対する考え方を紹介します。

<つづく>