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2020年4月2日

知っているようで知らない「ヴィ―ガン」のこと。地球環境のために私が食生活でできること

最近、私たちの生活の中でも耳にすることが多くなった「ヴィーガン」という言葉。なんとなく「動物性の食べ物は食べない?」とか「革製品は使わない?」などというイメージがある人もいると思いますが、実は私たちが目指すサステナブル(持続可能)かつ居心地のいい、まさにサステナブルラグジュアリーな生活に近づくためにキーとなる概念なのです。

実際、日本でもヴィーガンのイベントの開催やヴィーガン商品の発売が増加傾向にあり、私たちもいろんなところで目にする機会が増えてきましたよね。

毎年夏に、山梨県のリゾート地、小淵沢で開催されている「VeganForest」をご存知でしょうか。小規模ながらも、毎年1000人以上の利用者があるといういま注目のヴィーガンイベントです。
今回は、「VeganForest」を主催しており、自らもヴィーガン生活を家族で送っている林美代子さんに話を伺いました。知らないと何となく近づきがたいヴィーガンですが、お互いに居心地よく過ごすためにヴィーガンの基本について学びます。


ヴィ―ガンとベジタリアンの違いは?



―改めて、ヴィーガンとはどのような概念なのでしょうか。


林:ヴィーガン (vegan) とは、すべての動物の命を尊重し、犠牲を強いることなく生きるライフスタイルのことを指します。「地球に存在するすべてに優しくあるために」という考えが根本にあります。


現代社会で生きるうえで、あらゆる商品の生産過程において、微生物や私たちが意識できないような小さないのちも含めて、すべてのいのちを奪わずに生きることは不可能ですよね。それに対してヴィーガンのライフスタイルは「可能な限り、意識できる範囲では搾取を避けていこう」という考えに基づいています。


―ヴィーガンはベジタリアンと混同されがちですが、ベジタリアンとはどういう違いがあるのでしょうか。


林:ヴィーガンは食以外の面を含めて「可能な限り」「いのちからの搾取」を避けるライフスタイル全般を指します。一方ベジタリアンは、食生活のポリシーを指すことが多いようです。「食」という面だけに絞ると、ベジタリアンとヴィーガンというのは共通点は確かに多いのですが、概念的には全く異なるものです。

なお、近年では魚だけを食べるベジタリアン、乳製品と卵は食べるベジタリアンなど、さまざまな条件が付け加えられたベジタリアンも存在するようですが、基本的にヴィーガンは、どうぶつ性もしくは、どうぶつ由来の食材を全般的に摂取しないということになります。
ある種のベジタリアンにとっては「はちみつ」はOKですが、ヴィーガンにとって「はちみつ」は「蜂からの搾取」ということになるので、避けるべき食材として扱われます。


食だけではない、ヴィ―ガンという生き方




―食生活のポリシーを有するのがベジタリアン、ライフスタイル全般のポリシーを有するのがヴィーガンということですね。最近はかなりヴィーガンという概念が世間的にも知られるようになってきた感じがします。


林:そうですね。最近では、ヴィーガン仕様の食品・衣服が世間一般に出回るようになり、ヴィーガンを実践する人は増えています。特に栄養学の面からは、紀元前の頃より「菜食は体によい」という研究が残されているんです。特に現代社会ではガンや心臓病などの生活習慣病患者が増加しており、そんな中で医薬や外科手術に頼らない療法としてヴィーガンの食事法に対する注目度が高まってきていますね。


―「可能な限り、意識できる範囲では搾取を避けていこう」という考えに基づいたヴィーガンの人が増える、というのは社会的にもステキなことですね。


林:はい、いまの日本では「食」にスポットが当たりがちですが、ヴィーガンはライフスタイル全般について考える概念。「食」以外にも、衣服や化粧品などにも意識が向いています。たとえば革製品を避けることはもちろんですが、労働環境的に問題のある生産体制をとっているメーカー等も避ける場合もあります。


直接的にどうぶつ性の食材を避けること以外に、たとえば添加物ってどうぶつ実験をすることがほとんど当たり前になっているんです。それはどうぶつのいのちを尊重していないということですから、添加物も避けることになります。
しかも添加物は、人間の体にも影響があるので、ヴィーガンの根本にある「地球に存在するすべてに優しくあるために」という考え方に反しますので、やはり避けることになります。


また、私たちにとって身近な化粧品においても、どうぶつ実験をしているか、していないかの確認は、ヴィーガンのライフスタイルでは当たり前のように行われていることです。


ヴィーガンという思想の原点




―林さんも、もともとは普通にお肉や乳製品を食べていたのでしょうか。


林:実は、もともと「お肉大好き!」「チーズや牛乳などの乳製品大好き!」な人間でした。20代のころは会社帰りに焼き肉行って、締めはラーメン…なんてザラだったのですが、結婚後、主人が原因不明の乾癬(かんせん)という皮膚病に悩まされてしまったのです。


それを間近でみて、「なんとかできないか」といろいろ調べていくうちに、「どうぶつ性の食品を摂らない」という選択があることを知ったのです。ただ、その頃は「どうぶつ性の食品すべてを食べないなんてことは到底ありえない」と思っていたので、そこまでシビアには取り組んでいませんでした。
ただ、その後生まれた長男が小さい頃からあまりお肉を食べない様子を見て、「本来、もしかしたらニンゲンにお肉は必要ないものなのかもしれないな」と思ったんです。


なので、「そもそもお肉などのどうぶつ性食品が私たち人間に必要なのかどうかを考えてみよう」と思い調べ始めたのが、ヴィーガンを知るきっかけでした。最初は、ヴィーガンって「ものすごくストイックで怖い人たち」というイメージでしたが、調べていくうちに、とても平和で地球にも優しい選択なんだということもわかったのです。


―実際にヴィーガンとして生きて行こうと思ったきっかけは何でしょうか。


林:実際に「今後はヴィーガンのライフスタイルでいこう」と決意したのは、と殺の現場を友人と見学した後からです。実際にパックになっている肉をみるのと、現実的に殺されていく牛やヤギたちを見るのは本当に違うのだと実感しましたし、大量の電気や水、資源を使いながらどうぶつたちを殺していく風景は狂気そのものだと思ったんですね。


そしてこれが続く限り、資源の消耗も続き「サステナブル(持続可能)」な世界は実現できないのだと強く感じました。もともと、地球の環境を改善したくて化学工学を専攻して大学院までいきましたが、自分の食生活を変えるほうが地球にとってもインパクトがあるということも、衝撃的でした。そのときから、きっぱりと息子たちを含め、わたしはヴィーガンのライフスタイルで生きていくことを決意しました。


―自分自身がヴィーガンでも、ほかの人はヴィーガンじゃないという状況について、何か思うことはありますか?


林:お肉を食べたい、乳製品を食べたいという人たちの気持ちもよくわかります。葛藤や罪悪感がでてくることも経験済みなので、わたし自身は他人がどのような選択をしようと、その選択を責めるつもりはありません。たとえ、ヴィーガンじゃなかったとしても、ですね。
ただ自分としてはむしろ、ヴィーガンになってからのほうが精神的に楽ですし、身体の調子もいいですし、遺伝子組み換えのことや添加物のことなど、いろいろなことを考えてもヴィーガンという選択肢は今の社会にとっては「あり」だと思っています。


―最後に、林さん自身の活動について教えてもらえませんか。


林:わたし自身は、「ヴィーガンってこんなに楽しく、平和になれる選択肢なんだよ」ということを知ってもらいたくて、2017年から山梨県のリゾート地、小淵沢で年に1回のヴィーガンイベント「VeganForest」を主催しています。


ここでは普段は普通にお肉をだしているお店でも、ヴィーガンの仕様にしてもらえたら出店していただいています。お店の方々にもヴィーガンのことを知ってもらう、そしてもちろん、来ていただいた方にも知ってもらい、楽しんでいただく内容を目指しています。

おかげさまで、毎年1,000人以上の累計利用者数で遠方から来ていただく方も多く、今年もまた楽しいイベントを企画する予定でいます。


わたしたちができること




林さんの話を聞いて、少しヴィーガンのイメージが変わった人もいるのではないでしょうか。ヴィーガンの概念を知ったからと言ってすぐにヴィーガンになるということを考える必要はありませんが、ヴィーガンについて正しく理解すること、そしてヴィーガンの人もそうでない人も、誰もが居心地よく感じられる社会を作っていくことが重要ですね。


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