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つながる530ACTIONで「ごみ」の概念のない世界を目指す!530サミット開催レポート

Plannersでは、毎年5月(530月間と制定)に「ごみ」の概念がない社会を目指すプロジェクト「530ACTION」を実施しています。 3年目となる2024年は「つながる530ACTION」をテーマに、サーキュラーやゼロウェイストのキーマン、企業、学生団体など業界や世代を超えた人々をつなぐ企画を行いました。そのひとつが5月27日の530サミット。株式会社パソナHRソリューションさん提供の会議室にて開催されました。資源循環に取り組む専門家や企業、学生団体が集まり、「プラスチック」「アパレル」「施設」の各テーマで、各々の知見や取り組みをシェアするリアルイベントです。 当日は企業、メディア、学生団体から35名もの方に参加いただき、各テーマごとに、登壇者からの事例紹介、パネルセッション、そして参加者同士のグループセッション、という形式でサミットは進行。特にグループセッションではみなさん話し足りないといった様子で、非常に濃い時間になりました。 この記事では、そんな業界や世代を超えて気づきやつながりが生まれた「530サミット」の様子を、参加者の声も交えながらレポートします。

この記事に登場する主な人たち

寺井 正幸

寺井 正幸

TERAI MASAYUKI

兵庫県立大学環境人間学部卒業後、産業廃棄物処理業者に入社し、産業廃棄物処理を中心とした営業を行う。事業の中で、産業廃棄物に関するセミナーや講演に50回以上登壇。ごみの学校を運営し、普段目に見えないごみのことを、できるだけ分かりやすく伝え、「ごみを通してわくわくする社会をつくること」を目標に活動している。大阪・関西万博のサステナビリティガイド制作にも携わっている。 ごみの学校Webサイト:https://gomischool.studio.site/

兵庫県立大学環境人間学部卒業後、産業廃棄物処理業者に入社し、産業廃棄物処理を中心とした営業を行う。事業の中で、産業廃棄物に関するセミナーや講演に50回以上登壇。ごみの学校を運営し、普段目に見えないごみのことを、できるだけ分かりやすく伝え、「ごみを通してわくわくする社会をつくること」を目標に活動している。大阪・関西万博のサステナビリティガイド制作にも携わっている。 ごみの学校Webサイト:https://gomischool.studio.site/

開催概要

・開催日時:5月27日(月) 18:30〜21:00
・開催場所:東京都港区南青山3丁目1−30 PASONA SQUARE
・参加費:無料
・参加人数:35名
・企画・運営:株式会社アイクリエイト、株式会社ごみの学校、株式会社パソナHRソリューション

プラスチック「プラごみゼロの実現に向けて、いま何が必要なのか?」

530サミットのパートナー・ファシリテーターでもある株式会社ごみの学校の寺井さんによる和やかな進行のもと、プラスチックのセッションからスタート。

最初は株式会社セイコーインターナショナル 服部さん、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社 / PHI株式会社 繁田さん、学生団体NAMIMATI 内田さんによる、取り組みや事例の紹介です。

トップバッターの株式会社セイコーインターナショナル服部さんにはリサイクル事業者の視点で、廃プラスチックを原料にしてプラスチック製品に再生するマテリアルリサイクルの工程や、対馬に漂着したプラスチックごみだけを100%リサイクルするRe:Ocean@TSUSHIMAの事例を共有いただきました。

続いてユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社 / PHI株式会社の繁田さんは、ユニリーバ・ジャパンのSDGsプラットフォーム「UMILE(ユーマイル)」プログラムを紹介。「UMILE」プログラムで回収した使用済みプラスチック容器を素材に使用したアップサイクル品もお持ちいただき、手に取った参加者の方からは「おしゃれだね」「かわいい!」との声が聞かれました。

次は学生団体NAMIMATI の内田さん。NAMIMATIの活動としてビーチクリーンやもっと若い世代にプラスチックについて知ってもらうECORACYの取り組み、またシティクリーンなどの挑戦を紹介。Z世代がどんなふうにSNSを使っているかの説明も交えた発表に、参加者の関心が集まったのではと思います。

それぞれの取り組みを共有したところで、パネルセッションへ。企業からは学生団体へ、人や資金の集め方を質問したり、リサイクル業者からメーカーへ、海外と比較した日本のリサイクル状況や強みを聞くなど、それぞれの実践者が双方向に質疑応答したり議論をしました。学生団体がペットボトルのラベルの必要性を問いかけた際は、メーカー、リサイクル業者の立場からの見解だけでなく、ラベルを製造している企業の参加者からも発言があり、早くもセッションは大盛り上がり。参加者同士のグループセッションでも話題は尽きない様子に、異なる立場の人が理解しあうことで、プラごみゼロの実現に向けて前進していくムーブメントを感じました。

アパレル「サステナブルファッションはどうすれば実現できるのか?」

2つめのテーマはアパレルです。最初に登壇いただいたのは有限会社松本商店の安保さん。有限会社松本商店は通称ボロ屋、古着のリサイクルの会社で、国内で古着を選別し、リサイクル可能品を処理しています。古着のリサイクルの厳しい実情をお話しいただいただけでなく、処分する責任はどこに?という問題提起もなされ、会場全体が引き込まれました。

続いては洋服をつくる側、株式会社アーチの小池さんから、デニムの裁断くずを集めて織ったデニムやオリジナルブランドARCH&LINEのリサイクルコットン(反毛)99%のTシャツなどの取り組みが紹介されました。実際の生地を参加者が触ってみることもでき、その思いや苦労もよく伝わったのではと思います。

そして学生団体からはcarutena横田さんより、古着として回収した服をバッグにアップサイクルをし、商品の撮影から販売までをすべて学生の手で行っているcarutenaの活動や、ワークショップや出張授業の様子が紹介されました。

どんな質問や議論が出てくるのか、わくわくしながらパネルセッションに続きます。学生団体から、ファストファッションについて思うことが問われた際は、生活者の行動変容の必要性が話題にのぼっただけでなく、リペアに取り組んでいる企業の参加者も加わり、みんなでサステナブルファッションの実現方法を考える時間になりました。

グループセッションでは、初めて知ったことや驚いたことも話題になっていました。濡れている古着と自宅にしまえないくらい汚い古着はリサイクルできないとは知らなかった、と一人の生活者としての気づきも多かったようです。

施設「事業者が取り組むべき分別と、ステークホルダーをどう巻き込むか?」

3つめのテーマ、施設では、まず株式会社大丸松坂屋百貨店の池本さんから、百貨店におけるごみ分別の取り組みとして、デパごみ研究室を紹介いただきました。現状把握に始まり、分別ルールの細分化やルールの浸透に挑戦した取り組みの内容はもちろん、学びや課題も共有いただき、参加者のみなさんが共感する点もあったのではと思います。

続いては株式会社博展の白川さんに、ゼロ・エミッション型イベントや、イベント・展示会で短期使用されるアクリルのClosed Recycleの取り組み、制作スタジオにおけるマテリアルリサイクルの向上施策を、写真も交えてお話しいただきました。

最後を飾ったのは学生団体のGreen Sophia。宮下さんより、一人一人ができることを発信していく環境インフルエンサーとして、清掃活動からヴィーガンクッキングまで、メンバー1人1人の関心に基づいた多様な活動を行っているGreen Sophiaのことが紹介されました。

続くパネルセッションでは、ステークホルダーの巻き込み方やどうやって行動変容を促すかについて、それぞれが知見やアイデアを出し合いました。ここでの具体的な議論は、その後のグループセッションでも話題になっていたようです。

530サミットで生まれたつながりと行動変容のきっかけ

あっという間に3つのセッションが終わり、530サミットはクロージングの時間。クロージングでは、会場を提供いただいた株式会社パソナHRソリューションさんの石田さんより、今日の学びとして、楽しみながら取り組めるような工夫でより多くの人を巻き込めること、業種や世代に閉じずにリアルを知ることの重要性、そして効果的にキャッチコピーや写真を使うことだと共有いただきました。

クロージング後も、参加者同士の名刺交換や立ち話は続き、まさに「つながる530ACTION」な530サミットになったと思います。

今回の530サミットでは参加者のみなさんからたくさんのポジティブな感想をいただきました。いくつかを紹介します。

日頃の自分のコミュニティを超えて、さまざまな立場、年齢の人の活動を知ったり考えを聞くことの大切さを痛感しました。体温が1度上がったような感覚で、大変刺激を受けました。
事業者、リサイクラー、学生団体という複数の視点から一つのテーマを語り合う形式が、学びを深めさせてくれました。
グループセッションで様々な業界の方と話す機会をいただき、勉強になりました。
今後アクションしたいのは、リサイクルとリペアのカルチャーを成長させる事です。企業コラボ、学生コラボ、みんなでムーブメントを作れると思います。
学生さん、若い方たちの取り組みや話が聞けて、意識の高さや行動力に驚き、素晴らしいなと感じました。

530サミットを始めとする530ACTIONの2024年の取り組みは、530ACTION REPORTとしてレポート化し、公開予定です。こちらもお楽しみに!

「ごみ」の概念がない社会を目指し、共創する

Plannersでは、「ごみ問題」「食と農」「防災」をはじめ、さまざまな社会課題の解決を目指し、サステナビリティに興味を持ち、行動する人たちとつながりながら、プロジェクトを生み、育てています。

なかでもごみ問題に関しては、530ACTIONの他、昨年からごみの学校と共同で「資源循環体験プログラム」の開催や、廃棄から循環の仕組みの実現をサポートする「ごみゼロプロジェクト」を始動し、企業の廃棄物の調査分析からアップサイクルの商品化までのサポートなどを行っています。

Plannersの活動に興味・関心のある方は、ぜひPlannersへご参加(無料)ください! 

 

執筆:朝来野