INTERVIEW

ごみ問題解決の糸口に?ごみの専門家・寺井正幸さんがカードゲームを監修する理由

海洋ごみ問題は、リサイクルの方法や課題が多様なこともあり、本質的な解決につながる教育、啓蒙活動が難しいと言われています。 そんな中、日本プロサーフィン連盟に加盟するサーファーたちの会話から生まれ、Plannersのプロジェクトパートナーの寺井 正幸さんが監修・協力された、海洋ごみ学習カードゲーム「Recycle Master」が、海洋ごみ問題の啓蒙につながる取り組みとして注目を集めています。 今年ラルフ ローレンもこの「Recycle Master」に賛同し、より多くの人に海洋ごみ問題を知ってもらうための活動の輪が広がっており、企業と個人が共創することで、海洋ごみ問題への興味関心を増やしているこの取り組みを、Plannersも注目しています。 今回は、「Recycle Master」制作における工夫や、多くの人に広めていくためのポイントを 、寺井さんへのインタビューを交えながら紹介していきます。

この記事に登場する主な人たち

寺井 正幸

寺井 正幸

TERAI MASAYUKI

1990年京都府亀岡市生まれ 大阪在住。兵庫県立大学環境人間学部後、産業廃棄物処理業者に入社し、産業廃棄物処理を中心とした営業を行う。事業の中で、産業廃棄物に関するセミナーや講演に50回以上登壇。また、インターネットTVの「環アラ情報局」にて環境に関する情報番組に130回企画及び出演を行い、環境分野への幅広い情報発信に力を入れている。

1990年京都府亀岡市生まれ 大阪在住。兵庫県立大学環境人間学部後、産業廃棄物処理業者に入社し、産業廃棄物処理を中心とした営業を行う。事業の中で、産業廃棄物に関するセミナーや講演に50回以上登壇。また、インターネットTVの「環アラ情報局」にて環境に関する情報番組に130回企画及び出演を行い、環境分野への幅広い情報発信に力を入れている。

義務感ではなく、楽しいから広まる

「Recycle Master」は、日本プロサーフィン連盟が取り組む海洋環境保全プロジェクト「ReWave」が手掛ける海洋ごみ学習カードゲーム。

海岸に見立てたマットの上にある「ごみカード」を、素材別に2枚以上集め、手札である「リサイクルカード」で再利用したりアップサイクルしたりしながら、ごみを適切に処理して美しい海を取り戻していくゲームです。

このカードゲーム、Plannersのプロジェクトパートナーで、ごみの学校主宰の寺井 正幸さんが監修・協力。ペットボトル、漁網などの海洋ごみがキャラクター化してあり、子どもも大人も楽しみながら、海洋ごみやリサイクルの仕組みを知り、さまざまな気づきが得られるよう設計されています。

今年、この取り組みにラルフ ローレンも賛同。今年春と秋に、全国のラルフ ローレンストアでRecycle Masterのワークショップが開催されました。寺井さんも講師として子どもたちと一緒にゲームをプレイされ、ゲームの進行にあわせて海洋ごみ問題の現状や、リサイクルの心がけなどを解説されました。

ワークショップに参加した親子からは、「ごみを捨てるときにわざわざ分けるの、初めて意味がわかった」、「子供たちだけじゃなく、私たちの勉強にもなりますね」などの感想が寄せられました。

普段の生活で、ごみの分別やリサイクルについて、正しく理解して実践することは大人でも難しく、義務のように感じてしまうこともありますよね。そんな中、大人も子どもも義務感ではなく、楽しみながら学べるからこそ、多くの人に受け入れられるのだと感じました。

他業種との共創による相乗効果

ごみの学校を主宰される寺井さん。ごみの専門家として、Recycle Masterの監修・協力をはじめ、さまざまな共創プロジェクトに取り組まれています。今回は、「Recycle Master」への協力に至った背景や、共創による成果を伺いました。

Q.「Recycle Master」とコラボした理由とは

A. ReWaveさんから、Recycle Masterの製作をサポートしてほしいと依頼を頂きました。実はこの依頼を頂いたのは、ごみの学校としての活動が始まってまだ3ヶ月くらいの時で、コミュニティメンバーも200人程度しかいませんでした。そんな状況でも、「ごみの専門家」としての視点を必要としていただき、お声がけいただきました。

Q.「監修・協力」という形でコラボされたとのことですが、具体的にどのようなことを実施しましたか?

A. 海辺で多く落ちているごみの種類や、それらのごみがどのような技術工程によって、どのようにリサイクルできるか。さらに、リサイクルまでの過程での難しさなど、ごみに関する専門的な情報をシェアしました。例えば、ペットボトルキャップの素材にはポリプロピレンが使われることが多いものの、ポリエチレンが使われることもあるという情報などです。

 

このような細かい情報を、Recycle Masterで登場するキャラクターの特徴や説明に反映いただき、結果としてキャラクターに奥行きが生まれ、学びの深さや楽しさにつながっています。

 

Q. ワークショップの反響は?

A. 「面白かった」「楽しかった」という声が多かった印象です。また、「家に帰ってさっそくごみの処理をやってみた」という声や、お子さんが自宅のシャンプーボトルを見て、「シャンプーボトルちゃん(キャラクター)を見つけた!」というようなコミュニケーションが家庭で生まれたという声も後日いただきました。

また、参加者だけでなく、ラルフ ローレンの社員さんにも楽しんでいただけました。実際にカードの説明を読んで驚かれる方や、社員さんによっては気になって自ら実際に遊んでみる方もいらっしゃいました。参加者だけでなく、ラルフ ローレン社内もごみ問題に向き合うきっかけを作れたことも良かった点です。

Q. ReWave・ラルフ ローレンとコラボしたことで、どのような相乗効果があった?

A. Recycle Masterを制作するReWaveは、日本プロサーフィン連盟による活動なので、サーファー以外の一般の人たちにどのように海洋ごみ問題を知っていただくかという課題を持たれていました。

そんな中、ラルフ ローレンとコラボしたことで、普段海洋ごみ問題に興味・関心を持つきっかけがあまりないようなラルフ ローレンのお客様に、問題意識を持っていただく機会になったことは大きなメリットだったと思います。

また、ラルフ ローレンにとっては、Recycle Masterで海洋ごみ問題に興味をもった参加者に、その場でラルフ ローレンのリサイクル商品を実際に手に触れてもらうきっかけになったり、会社としての環境活動の背景や素材に関する工夫など細かいポイントを直接お客さんへ説明する機会になったと言っていただきました。

 

ごみの学校としては、ごみの現状を多くの人に知ってもらうための、新たな前例をつくれたことがとても大きかったです。これまでアパレルの店舗で、ごみ問題のことをカードゲームを通して学んでもらう取り組みはほとんどなかったと思います。今回は「サーファー×アパレル」といった掛け算でしたが、今後アパレル以外の業界でも応用して取り組みを広げていけたらと思います。

 

—————————————-

 

「Recycle Master」を手掛けるReWaveだけではなく、寺井さんのような個人や、ラルフ ローレンのような企業が、お互いの知見や強みを補完し合うことで、相乗効果を生み、より大きな取り組みに発展していける、共創の重要性がわかりました。

 

Plannersでは、個が「つながる」サステナブルコミュニティを展開

当メディアを運営するPlannersでは、寺井さんが主宰する「ごみの学校」とコラボレーションし、廃棄から循環の仕組みの実現をサポートする「ごみゼロプロジェクト」を始動。企業の廃棄物の調査分析からアップサイクルの商品化までサポートを行っています。

 

さらに、ごみの概念のない社会を目指す「530ACTION」をはじめ、ごみ問題などの社会課題解決を目指す、さまざまなサステナビリティプロジェクトに取り組んでいます。

 

Plannersと一緒に、ごみ削減のためのアクションをしていきませんか?

参考資料

・カードゲームで遊びながら海洋ごみ問題を、家族で学ぶ。(PRTimes):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000112134.html

・今春に大好評を博したワークショップが、この秋にも再び、実施決定。ポロ ラルフ ローレン チルドレンのストアで、海洋ごみ学習カードゲーム「Recycle Master」のワークショップを開催。(PRTimes):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000112134.html